おはようございます。
今日は、組合員に対し、センター長および施設長の役職を解任し、自宅待機命令をしたこと等が不当労働行為にあたるとした命令を見てみましょう。
社会福祉法人大磯恒道会事件(中労委平成28年4月6日・労判1136号169頁)
【事案の概要】
本件は、組合員に対し、センター長および施設長の役職を解任し、自宅待機命令をしたこと及び組合いに対し法人の分室勤務を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は、自らの定款で定めた所要の手続を経ることなく本件解任等を実施しており、また、本件解任等を行うに際し、Aらの管理職としての適性を合理的に判断したとも認められない。
2 Y社は、ユニオンに加入したAらが、懲戒処分を議題とする団体交渉の開催を繰り返し要求し、組合活動を通じてY社に対抗していく姿勢をあらわにしたことから、同人らが職場で組合活動を展開すれば、同人らに同調する職員がユニオンに加入するなどにより理事会等法人上層部に対抗する勢力の拡大を招くおそれがあるとみて、Aらの組合活動への危機感を募らせ、同人らの職員への影響力を削ぐとともに職場から排除することを企図して、同人らの役職を解いて自宅待機を命じたものとみるのが相当である。
・・・したがって、本件解任等は労組法7条1号の不当労働行為に当たる。
3 本件分室勤務は、Aらに対し、常時、法人の介護現場や職員から隔離された個室内で勤務することを強いるものであるから、Aらに疎外感を与えるものであり、さらに、分室には出入口に向けてカメラが設置され、かつ、同人らにその設置目的や取扱方法も知らされていなかったことを考慮すれば、そのような環境下で勤務を強いることは、Y社により常に行動を監視されているとの念を抱かせ、心理的な圧迫を与えるに足るものというべきである。よって、本件分室勤務は、Aらに対し、精神上の不利益を与える取扱いである。
以上のとおり、本件分室勤務は、・・・労組法7条1号の不当労働行為に当たる。
所定の手続を経ずに解任等の不利益取扱いをすると、やはり組合敵視のように見えてしまいますね。
また、仮に手続を経たとしても、合理的な理由なく解任等を行えば、同様の結論になってしまいます。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。