おはようございます。
さて、今日は、常勤講師を選任教諭に採用しなかったことと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
箕面自由学園事件(大阪府労委平成24年4月10日・労判1049号95頁)
【事案の概要】
平成20年11月、幼稚園、初等科、中等科および高等科を設置運営するY学校は、中・高等科教諭常勤講師として勤務していたXに対して、20年度末をもって雇止めとする旨を通知した。
その後、Cが加入した組合がY学校と団交を行った。
平成23年1月、Y学校は、Xの資質がY学校が求める専任教諭の人物像に合うと認められないほか、専任教諭の採用枠の有無、財務状況等の諸事情からしても専任教諭として採用できない旨文書で回答した。
【裁判所の判断】
不当労働行為にはあたらない
【判例のポイント】
1 Y学校は、専任教諭の採用を判断するに当たって、専任教諭の資質として情熱や積極性を重視する一方、X組合員には、平成18年度以降、嘱託教諭としての1年間及び常勤講師としての2年間の勤務を通じて、それらが感じられないと評価しており、かかる評価は平成20年11月5日に同人が雇止めとする旨告げられた時点においてすでに受けていたのであって、同人の組合への加入の前後を通じて大きく変わってはおらず、一貫して、専任教諭として採用したいとの判断に至るものではなかったとみることができる。したがって、X組合員の組合加入の前後による同人に対するY学校の評価に差異があったとはいえず、この点について、Y学校の不当労働行為意思を認めることはできない。
2 次に、組合は、X組合員を専任教諭としない一方で、多数の非組合員を専任教諭としており、組合員差別である旨主張するので、X組合員と非組合員たる常勤講師との専任教諭への採用状況等の比較についてみる。
・・・(1)平成18年度以降に常勤講師として採用された、X組合員以外の教員40名のうち、同22年度末までに専任教諭としての採用が決定された者が12名いる一方、自己都合によらず雇用契約を終了した者が13名いること、(2)同23年度においてY学校は専任教諭を採用していないこと、がそれぞれ認められる。これらのことからすると、常勤講師の専任教諭への採用及び雇用契約終了の状況について、組合員と非組合員との間に、Y学校が組合員に対する差別を行ったと認められるほどの不自然な格差は認められない。よって、Y学校がX組合員を専任教諭として採用しない一方、同22年度までに常勤講師12名を専任教諭として採用したことが、組合員差別に当たるとみることはできず、組合のかかる主張は採用できない。
3 以上のことからすると、(1)Y学校のC組合員に対する評価は組合加入の前後で大きく変わってはおらず、(2)平成18年度以降に採用された常勤講師の専任教諭への採用状況等が組合員差別に当たるとみることはできず、(3)その他Y学校に不当労働行為意思を推認するに足る言動を認めることができないことから、Y学校がX組合員を平成23年度に専任教諭として採用しなかったことが、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるとはいえない。
組合加入を理由とした不利益取扱いではないとの評価をされたことから、不当労働行為性を否定されました。
客観的なデータがものを言うことがよくわかります。
準備が大切ということですね。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。