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今日は、団交応諾義務、誠実交渉義務に関し争われた事例を見てみましょう。
神明解体工業事件(兵庫県労委平成28年2月18日・労判1132号86頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が、平成26年夏季一時金の団交において、X組合との交渉過程で合意・確認したところに反し、次の団交で初回回答からの増額回答をせず、一時金とは無関係の、過去において会社が支払義務を認めた債務の一部支払いをもって増額分に充てるという提案をし、またX組合が求める販売費および一般管理費の内訳を開示しないなどその交渉態度が不誠実であり、さらに、妥結に至っていない一時金を一方的に支払うことで団交を打ち切ろうとし、これらの行為が不当労働行為に該当するとして、救済の申立てがあった事案である。
【労働委員会の判断】
販売費および一般管理費の内訳を開示しなかったことは不当労働行為に該当する。
その余は不当労働行為に該当しない。
【命令のポイント】
1 団体交渉において、会社には交渉妥結に向けて組合の理解を得るために必要な資料を示して説明するなどの努力をすべき義務があることは上述したとおりであり、会社の上記のような対応は、過去の団体交渉において、平成20年度からの売上高の推移等の資料を示してしたとしても、会社の経営状況が一時金についてどの程度の支払が可能な状況かについて、組合の理解が得られるように説明する努力を十分に尽くしたとは認め難い。
2 第4回と第5回の団体交渉に応じていることからも、会社は交渉の打ち切りをもくろんで支給したとは認められないし、第4回と第5回の団体交渉においては、現在の経営状態では、当初回答の額が支給できる限界であり上積みをすることができない趣旨の回答をしているのであって、このことは第1回の団体交渉の回答から変わるものではないが、ことさら団体交渉を形骸化させようとする態度であるとは認められない。
必要な資料の開示を拒否すると、不当労働行為に該当しますので注意しましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。