不当労働行為142(T社(懲戒解雇)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、確定判決に基づく債権差押命令の申立てを理由に組合員1名を懲戒解雇したことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。

T社(懲戒解雇)事件(大阪府労委平成27年10月23日・労判1130号93頁)

【事案の概要】

本件は、確定判決に基づく債権差押命令の申立てを理由に組合員1名を懲戒解雇したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 懲戒解雇通知書には解雇理由として、①C組合員が自らの計算違いを差し置いて、②連絡なきまま突然に、③債権差押命令を申し立て、④その結果Y社の経済的信用を毀損し、Y社に損害を与えたことが上げられているところ、・・・当該債権差押命令申立ては、申立てまでに十分に折衝を重ねた上での正当な権利行使であるうえ、これにより、Y社の経済的信用を毀損し、Y社に損害を与えたと認めるに足る疎明はない

2 懲戒解雇に至る手続についてみるも、懲戒解雇通知書で解雇理由として記載されている、C組合員が自らの計算違いを差し置いて連絡なきまま突然に債権差押命令を申し立てたことが事実に反することは、C組合員ないし労組に確認すればすぐに判明するところ、Y社がこのような確認を行ったとの疎明はない。したがって、Y社が制裁の中から懲戒解雇を選択したことについても合理性はない

3 以上のことからすると、Y社が、C組合員を懲戒解雇したことには合理性がなく、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たる。

使用者があえて懲戒解雇を選択する以上、相応の理由が必要であり、手続を経る必要です。

感情にまかせて、安易に懲戒解雇をすることは避けましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。