おはようございます。
さて、今日は、期間従業員の雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
ヤンマー事件(滋賀県労委平成24年2月15日・労判1044号94頁)
【事案の概要】
Y社は、平成20年8月、びわ工場で就労する派遣労働者を期間従業員として直接雇用する旨を公表した。
派遣会社に雇用され、派遣労働者としてびわ工場組立グループおよび機械グループに従事していたX2とX3は、それぞれ契約期間を20年9月から21年2月までとする期間従業員としてY社に雇用された。
Y社は21年1月、組立グループおよび機会グループの期間従業員を対象に雇用契約に関する説明会を開催し、リーマンショックによる受注の急激な減少により組立グループは期間従業員全員の雇用契約を更新できない旨を、また、機械グループは期間従業員の一部の者と契約を更新できなくなった旨を説明した。
当時期間従業員の中で組合員であったのは14名であったが、そのうち組立グループのX2を含む11名全員および機械グループのX3は雇止めとなった。
組合は、X2およびX3の雇止めが不当労働行為であるとして本件救済を申し立てた。
【裁判所の判断】
雇止めは、不当労働行為にはあたらない
【判例のポイント】
1 ・・・以上を総合考慮すると、Y社がTNエンジンの受注回復の見通しの立たない平成20年12月の段階で、平成21年2月に雇用期間満了を迎える期間従業員の雇止めの方針を決定し、これを実行したことはやむを得ない措置であったといわざるをえない。
組合は、TNエンジンの生産は同年5月度には増加に転じていることからするとY社はこれは予測可能であり、少なくとも半年くらいのスパンでリーマンショックの影響について分析して人員整理の必要性等を検討すべきであったのに平成20年12月という早い段階で期間従業員の雇い止めの方針を決定したのは不当である旨主張する。しかし、前記のとおり、Y社が受注回復についての見込みがたてられたとは認められず、毎月大きく受注量が減少していくなかで長期のスパンでの人員計画をするというのも困難であったと認められるから組合の主張は理由がない。
2 ・・・人事評価の成績の下位のものから順次7名を雇い止めの対象者として選定したが、その対象者のなかに組合員X3が含まれていたものである。
余剰人員の決定方法について不合理とされるべき事情は認められず、その人選について人事評価をもって決定したことについても合理性が認められる。
3 以上を総合すると、組合員X2および組合員X3の雇い止めは、専らリーマンショックに端を発する世界同時不況によるY社の業績悪化に対する措置としてやむなく取られたものと認められるのであり、組合の活発な組合活動があり、ビラ配布などをめぐってY社とトラブルがあって両者が緊張関係にあったことを考慮に入れたとしても、これをもって組合員であることを理由とする不利益取扱ないしは組合潰しをねらった支配介入であると認めることはできない。
整理解雇の一環として雇止めの合理性が認められています。
あくまで不当労働行為該当性を判断するにあたって、そのように判断されているものであり、訴訟で整理解雇の有効性が争われた場合に、当然に同じ結論になるとも限りません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。