おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、有期労働契約の更新拒絶が有効された裁判例を見てみましょう。
中外臨床研究センター事件(東京地裁平成27年9月11日・労経速2256号25頁)
【事案の概要】
Xは、Y社に対し、有期労働契約の更新拒絶が権利の濫用に当たるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、前記労働契約に基づき、未払賃金及び賞与合計864万円、平成24年1月から毎月25日限り賃金月額27万円及び遅延損害金、平成24年から毎年6月末日及び12月末日限り賞与54万円及び遅延損害金の支払を求めている。
【裁判所の判断】
本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日以降の金員の支払を求める部分に係る訴えを却下する。
その余の請求を棄却する。
【判例のポイント】
1 本件労働契約は、1回更新され、その期間は通算して3年10か月である一方、LDM業務とは、・・・何らの訓練も要さずにY社に入社して即時に処理可能なものとは認められないものの、なお中外製薬からの出向社員が担当する薬剤の臨床開発と比較すると、なお周辺的、定型的な性質を有する業務であると認められる。
そうすると、本件労働契約が、その契約期間の満了時に本件労働契約を更新しないことにより本件労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより、当該労働契約を終了させることと社会通念上同視できる事情があるとは認められない。もっとも、Xにおいて本件労働契約の契約期間の満了時に本件労働契約が更新されるものと期待することには合理性があるものと認められるが、前記のとおりの本件労働契約の更新の回数及びXの業務の内容に照らせば、前記合理性を高いものと評価することはできない。
2 ・・・Xには、Y社における業務の中で、自らの注意不足、周囲とのコミュニケーションに対する拒否的反応が散見され、これに起因する多数の過誤が発生していたものと認められる。
そして、これらの過誤は、個々に検討する限りでは、Xが主張するとおり、軽微なものと評価すべき事実も散見されるものの、これらが繰り返された回数、頻度及び平成18年3月から平成21年12月までの間、特段の改善傾向が見受けられないことに照らせば、Xの業務態様は芳しいものとは認め難いのであって、これに反するXの主張は理由がない。
3 以上の検討によれば、本件更新拒絶には、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない事情はないというべきである。
有期雇用契約の雇止めの有効性を判断する場合、上記判例のポイント1で示されているとおり、業務の性質を検討する必要があります。
通常の解雇の場合とは少し異なる視点が加わるので、その点を忘れないようにしましょう。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。