おはようございます。
今日は、親会社の労組法上の使用者性に関する命令を見てみましょう。
ジャレコほか1社事件(中労委平成27年2月18日・労判1114号170頁)
【事案の概要】
本件は、親会社(ホールディンス)Y社が、子会社A社従業員の加入する組合の申し入れた団体交渉に応じないことが、不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
初審東京都労委は、団交拒否は不当労働行為にあたるとして、文書交付を命じた。
これに対し、組合らは、団交応諾の救済を求め、また、Y社は、申立ての棄却を求めて、それぞれ再審査を申し立てた。
【労働委員会の判断】
不当労働行為には当たらない。
【命令のポイント】
1 ・・・以上によれば、A社の従業員の労働条件については、A社のみがこれを支配し決定することができる地位にあったというべきであって、Y社がA社の従業員の基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を及ぼしていたとはいえない。
2 ・・・以上のことからすると、モバイル事業部を廃止し、X組合員を含む同事業部に所属する従業員を解雇することを決定したのは、A社であって、本件解雇について、Y社が雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を及ぼしていたとはいえない。
3 以上のとおりであるから、Y社が本件解雇及び団体交渉について使用者の責任を負うとする組合らの主張は採用できず、Y社が、X組合員の基本的な労働条件や本件解雇について、労組法第7条の使用者に該当するということはできない。
親会社等の労組法上の使用者性は、上記規範により判断されますが、なかなか認められないですね。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。