労働者性13(リバース東京事件)

おはようございます。

今日は、セラピストの労基法上の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

リバース東京事件(東京地裁平成27年1月16日・労経速2237号11頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社との間で締結した契約は業務委託契約ではなく雇用契約であり、Y社が平成24年11月30日をもってした契約解除は解雇に相当する旨主張し、Y社に対し、主位的には、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、雇用契約に基づく上記解雇以降の賃金の支払並びに平成22年12月から平成24年11月までの未払賃金及び精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めるとともに、X及びY社間の契約が雇用契約と認められないことを前提として、予備的に、X及びY社間の業務委託契約に基づき、受付業務についての報酬の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件契約に係る契約書の規定内容は、手技療法業務提供の委託に関する約定であると認められるところ、Y社との間で同委託に関する契約を締結したセラピストは、その稼働日及び稼働時間を自ら決定することができ、施術の担当に関して諾否の自由も有しており、Y社から必要な限度で一定の注意喚起等を受けることはあるものの業務遂行上の指揮監督等を受けることはなく、施術の実施についても基本的には自ら裁量で行っているから、セラピストがY社の指揮監督下において労務を提供しているものとは認められない。加えて、セラピストが受け取る対価は完全出来高制であって労務対償性は認められず、また、セラピストには高い事業者性も認められることからすれば、Y社との間で上記委託に関する契約を締結したセラピストが労働基準法上の労働者に該当すると認めることはできないというべきであり、本件契約におけるXについても上記認定と異なる特別の事情は認められない

2 セラピストは、おおむね30分ないし60分程度の範囲で交替で受付業務を担当し、受付業務を行っている間に指名を受け、又は施術担当の順番が回ってきた場合には、指名や施術担当が優先され、他のセラピストが代わりに受付業務を担当するとの受付業務の運用実態からすれば、セラピストが受付業務を担当することで特段の不利益を被るとは考え難く、また、セラピストが受付業務をすることによって利用客に合ったよりよいメニュー等を案内することが期待される一方で、実際に施術を担当する利用客の受付業務を当該利用客の施術を担当するセラピスト自身が行うものとすると効率的な業務運営に支障を来すことも考えられるから、セラピストが自ら施術を担当していない30分ないし60分程度の時間帯に施術業務に付随する業務として受付業務を担当するものとするのは一定の合理性があると認められる。
以上によれば、セラピストとY社との間では、セラピストが施術業務に付随する業務として受付業務を行う旨の合意が成立していたと認めるのが相当であり、受付業務につきY社が別途報酬を支払う旨の合意が成立した事実は認められず、Xについても上記認定と異なる事情等が存したものとは認められない。

数多く存在するマッサージ店の経営者は、是非、参考にしてください。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。