不当労働行為107(学校法人明泉学園(S高校・クラス担任外し)事件)

おはようございます。

今日は、クラス担任外しと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

学校法人明泉学園(S高校・クラス担任外し)事件(中労委平成26年12月3日・労判1104号90頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、授業時間中の生徒指導において生徒とトラブルになったことを理由に組合員Xをクラス担任から外したこと及び生徒にクラス担任変更のお知らせを配布したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件トラブルが発生した当時、Y社は、組合から提起された各訴訟で敗訴し、多額の金員の支払を余儀なくされていた上、組合が新たに提起した第3次賃金訴訟や立ち番訴訟への対応に当たらなければならない状況であった。さらに、裁判所から、Y社は組合を差別している旨指摘されたり、労働委員会命令の不履行があるとして過料の制裁を受けるに至っていた上、組合との団体交渉においては、Xの専任教諭化や差額賃金の支払等を繰り返し要求されていた。このような状況であったことからすれば、Y社は、対立的な組合の存在を嫌悪していたと考えられるところであり、組合によるXの専任教諭化要求について、これを認める余地がないとの態度を示していたのも、こうした嫌悪感の表れの一端であったとうかがわれる

2 以上からすれば、Y社が、性急かつ不相当な方法で本件クラス担任外しを決定し、Xを殊更不利益に取り扱ったのは、本件トラブルの責任は全てX個人にあったことにして、組合の組合員であるXをあえてクラス担任から外すことにより、Y社の責任を追及しようとする組合活動を牽制するとともに、Xの専任教諭化等の要求を続けていた当時の組合の活動や組織に打撃を与えようと考えたからであったと認めるのが相当である。
したがって、本件クラス担任外しは、Xが、組合の組合員であることを理由として行われた不利益取扱いであり、労組法7条1号の不当労働行為に当たる。

使用者と組合との間で激しく対立しているのが読み取れます。

学校自体の運営に支障が出て、生徒に対して影響が出なければいいですが。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。