おはようございます。
試用期間中の解雇に関する判例をもう1つ紹介します。
オープンタイドジャパン事件(東京地裁平成14年8月9日判決・労判836号94頁)
【事案の概要】
Xは、人材紹介会社からY会社を紹介され、事業開発部長として年俸1300万円で採用された。
Y社には、3か月間の試用期間がある。
Xは、Y社から、Y社の業務運営方針に適合しないとし、雇用から2か月弱経過時に、本採用拒否の通知を受けた。
Xは、Y社に対し、解雇無効を理由とする地位確認及び賃金請求をした。
【裁判所の判断】
解雇無効。
【判例のポイント】
1 Y社の主張するXの業務遂行の状況は不良、または不適切であったとは認められない。
2 Xの事業開発部長としての能力がY社の期待どおりではなかったとしても、2か月弱でそのような職責を果たすことは困難というべきであり、Xの雇用を継続した場合に、Xがそのような職責を果たさなかったであろうと認めることはできない。
本件では、Y社が、具体的な本採用拒否理由を複数あげており、裁判所は、それらについて1つ1つ検討をしています。
結論としては、いずれも本採用拒否の理由としては不十分であると判断しました。
会社としては、有能な社員をとりたいのは当然のことです。
試用期間中に、社員の能力等を見極めたいと考えるのもよくわかります。
ただ、短い試用期間の中で、会社が要求する水準をクリアできるか否かで本採用の有無を判断する場合には、注意が必要です。
このような場合、裁判所が、【判例のポイント】の2のような判断をすることがあります。
要求する水準と見極める期間のバランスがポイントになってきますね。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。