おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
さて、今日は、組合加入直後の解雇と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
ひめじや事件(大阪府労委平成25年8月7日・労判1079号174頁)
【事案の概要】
平成24年4月7日、Y社従業員Xは、組合に加入し、同月13日、Y社に対して、労働組合に加入している旨を告げた。
同年5月16日、組合執行委員長が、Y社に電話をかけて、同月18日にY社を訪問し、団交申入書を提出したい旨を告げた。
同月17日、Y社は、Xに対して、「就業規則第38条の規定により」同日付で解雇する旨の通知書を交付し、Xが具体的な理由の説明を求めても、守秘義務違反、公私混同と回答するのみであった。
団交においても、Y社社長は、具体的な解雇理由を説明しなかった。
同月28日、Y社はXに対し、「経理担当者として知った秘密をしばしば漏えい、勤務中にしばしば私用電話」などと記載した解雇理由通知書を交付した。
【労働委員会の判断】
Xを解雇したことは不当労働行為に該当する
【命令のポイント】
1 ・・・以上を総合的に判断すれば、Y社は、平成24年4月13日にX組合員から労働組合への加入を告げられたことを契機に、同組合員に始末書の提出を求めたり、秘密裏に録音を行うなど、同組合員を解雇するための準備を始めたところ、同年5月16日になって電話で2日後にX組合員の組合加入が正式に通告されることを知り、組合の関与により解雇が困難になる以前にX組合員を解雇してしまおうとして、同月17日に、合理的で説得力のある解雇理由がないにもかかわらず性急に本件解雇を行ったのであり、解雇理由通知書についても解雇理由を後付け的に整理したと推認することができる。
2 以上のことを総合すれば、本件解雇は、X組合員が組合に加入したことを知ったY社が、それを嫌い、X組合員を会社から排除することを企図して行われたものと判断せざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為である。
わかりやすい不当労働行為ですね。
気持ちはわからないではないですが、このようなやり方では、事態を悪化させるだけなので、おすすめはしません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。