不当労働行為79(山本製作所事件)

おはようございます。

さて、今日は、組合が労組法上適法な団体であることが明らかでないとして団交に応じなかったことの不当労働行為性に関する命令を見てみましょう。

山本製作所事件(神奈川県労委平成25年6月21日・労判1077号95頁)

【事案の概要】

本件は、X組合(いわゆる合同労組)がAの組合加入を受け、Aの整理解雇等についてY社に対し団体交渉要求書を送付して団体呼応省を申し入れたところ、Y社が、組合規約等の提出を要求し、労働組合法上適法な団体であることが明らかになった後に団体交渉に応じるなどと回答したことが、労組法7条2号および3号に該当する不当労働行為であるとして、救済の申立てをしたものである。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に該当する

【命令のポイント】

1 確かに、Aは、整理解雇により雇止めとされた当時、Y社に対して何ら不服を表明することなく、その後3年近く経過しており、また、少なくとも平成20年及び平成21年に年次有給休暇を取得していたことから、Y社が本件団体交渉要求書に記載された内容が事実と異なると認識したことには十分な事情が認められる。そして、組合は、Aにかかる団体交渉申入れは今回が初めてであったにもかかわらず、本件団体交渉要求書を送付したことなどからすれば、Y社が組合の団体交渉申入れの態様に対して疑念を抱いてもやむを得ないとみられる一面が存することは否定できない。
しかしながら、法適合組合であることは、労働組合法に規定する手続に参与し、同法に規定する救済を受けるために必要な要件ではあっても、組合が団体交渉を申し入れるのに必要な要件ではない。労働組合からの団体交渉申入れに対し、法適合組合であると確認した後に団体交渉に応じるとの使用者の対応は、労働組合の団体交渉権の行使を不当に制約するものと評価せざるを得ない
したがって、本件団体交渉申入れに対する当初のY社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たり、ひいては組合を軽視するものとして支配介入に当たる不当労働行為である。

まったくそのとおりなので、特にコメントすることはありません。

使用者のみなさん、このような通らないことが明らかな理由で団体交渉を拒否することはやめましょう。

何のメリットもありませんので。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。