解雇124(北港観光バス(休職期間満了)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は、休職期間満了による自然退職扱いに関する裁判例を見てみましょう。

北港観光バス(休職期間満了)事件(大阪地裁平成25年1月18日・労判1077号84頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社から休職期間満了を理由とする退職通知を受けたのに対し、Y社から休職を命じられたことはないこと、仮に命じられたとしても休職期間の終期は定まっていなかったから休職期間満了に当たらないこと、さらに、仮に休職期間が満了していたとしてもその事件で復職は可能であったことから、当該退職通知は、実質的には無効な解雇の意思表示であることを理由として、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および退職扱いを受けた後の賃金の支払を求めるとともに、Y社のかかる取扱いが不法行為に当たるとして、慰謝料の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

自然退職扱いは無効

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 使用者が、休職期間満了により労働者を退職扱いとするためには、労働者に就業規則上の休職事由が存在すること、使用者が休職命令を発したこと及び休職期間が満了したことが必要であり、これらの要件を満たす場合に、労働者が休職期間満了による退職の効果を否定するためには、休職期間満了の時点で就労が可能であったことを立証する必要がある。

2 Xが通勤中に事故に遭い、翌日から欠勤していたが、職場復帰の申出をしたところ、XからY社に診断書の提出がされなかったとして、Y社が本件事故の5か月後である平成23年2月2日をもって、Xが休職期間満了で自然退職扱いとされたことにつき、Xの本件事故はY社就業規則の休職事由に該当するが、Y社がXに対し、明示的に就業規則に基づく休職を命じた事実は認められないし、仮に、黙示的に休職命令が発せられていたと評価できるとしても、そのことから当然に、休職期間が平成23年2月2日で満了したと認められるものではなく、さらに、2人の医師が就労が可能であったことを証明しているのであり、他方、Xが復職を申し出ているのであるから、Xは休職期間満了時に復職が可能であったといえる。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。