賃金283 賃金の男女差別的運用に基づく差額賃金・賞与等支払請求が棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金の男女差別的運用に基づく差額賃金・賞与等支払請求が棄却された事案を見ていきましょう。

原田産業事件(大阪地裁令和6年1月31日・労判ジャーナル147号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において、事務職区分でY社に採用された女性であるXが、Y社において採用されていた賃金表は実質的に男女別の賃金表に当たり、労働基準法4条に違反する違法な賃金差別に当たるなどと主張して、民法709条に基づき、総合職に属する企画職区分の従業員との差額賃金・賞与等の支払及び慰謝料等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、他の商社と同様、Y社においても男女別賃金表が用いられていた旨主張するが、平成14年人事管理規定、本件人事管理規定やY社の新卒者を対象とした求人票には男女で賃金を区別する旨の記載はなく、また、Xが採用された平成19年5月以降のY社の賃金表には男女で賃金額を区別する旨の記載は見当たらず、Xが採用されてから、Y社において男女別賃金表が用いられた事実は認められず、その余の事情を検討しても、XがY社に採用されて以降、Y社が女性であれば全て事務職として処遇したり、賃金において男女差別的な運用をしたりしていたことを推認することはできず、その余の点を論ずるまでもなく、Xの請求は理由がない。

一見すると、非常に形式的な判断のようにも思いますが、この論点は今後、より活発に議論されることが予想されますので注意が必要です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。