おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、横領行為の発覚を隠ぺいする行為に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。
フォーバンス事件(大阪地裁令和5年11月16日・労判ジャーナル145号26頁)
【事案の概要】
本件は、反訴において、Y社が、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結していたXの横領行為及びこれを隠ぺいする行為によって追加納税相当額の損害が生じた旨主張して、Xに対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、損害金約1070万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 Y社は本件追加納税のうち過少申告加算税、延滞税及び延滞金を納付しており、これらは、いずれもXの賃金額が本来の支給額であることを前提にY社の会計処理を再度行ったことによって各事業年度に既に申告した所得よりもより多くの所得を計上して修正申告書を提出することになったこと及び定められた納期限を徒過して納付したことによって生じたものであり、そして、XはY社の唯一の経理担当職員という立場で本件横領行為及び本件隠ぺい行為をし、その結果Y社の当初の所得額が異なることになったことがうかがわれ、これに反する事情は認められないから、本件横領行為及び本件隠ぺい行為とY社が過少申告加算税、延滞税及び延滞金を納付したこととの間には相当因果関係が認められ、本件追加納税のうち、過少申告加算税、延滞税及び延滞金の合計額99万0400円については本件横領行為及び本件隠ぺい行為との間に相当因果関係のある損害と認められる。
認定されている点については特に異存のないところかと思います。
とはいえ、請求した損害額のほとんどの部分は認められていません。
かなりの労力や経費がかかった点を考慮してくれてもいいと思いますが。
日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。