不当労働行為315 団交拒否が不当労働行為にあたらないとされた事案(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、団交拒否が不当労働行為にあたらないとされた事案を見ていきましょう。

有田川漁業協同組合事件(埼玉県労委令和5年5月25日・労判1297号161頁)

【事案の概要】

本件は、組合が令和4年6月22日に団体交渉を申し入れたのに対し、Y社が本件申立てまでにおいて団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない。

【命令のポイント】

1 本件申立てに至るまで、Y社は、組合からの団体交渉申入れに関して、その都度文書により対応しており、団体交渉そのものを拒絶する意思を示したとするような事実は認められない。その後も、Y社は、交渉日時や交渉方法について組合とのやり取りを継続し、交渉日時を調整して、令和4年8月30日、組合の希望通りリモート方式による団体交渉に応じている。また、当該団体交渉の日程を調整するに当たり、Y社が殊更開催を先延ばしにしようとした意図も認められない
したがって、本件申立時点では、まだ団体交渉は開催されていなかったものの、組合からの団体交渉申入れに対し、Y社がこれを正当な理由なく拒否したとまでは言えず、Y社の対応が労組法7条2号の不当労働行為に該当するとは認められない。

理由を読むかぎり、使用者側に団交拒否の姿勢は見られません。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。