不当労働行為301 団体交渉における会社側の対応が不誠実団交に該当するとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、団体交渉における会社側の対応が不誠実団交に該当するとされた事案を見ていきましょう。

たくみ運輸事件(兵庫県労委令和4年9月6日・労判1280号101頁)

【事案の概要】

本件は、団体交渉における会社側の対応が不誠実団交に該当するかが争点となった事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 B1が査定根拠として説明した内容は、「収入とね。まあ売上げ。もう分かりやすく今回言うたったな、ETCの額こんだけ違いますよ。」など、客観性のない極めて曖昧なものであり、組合が考慮要素に対する計算式などの具体的な評価基準を質したことに対しても回答したことは認められず、会社は、支給基準に関し、何ら具体的な説明をしていないというほかはない

2 組合が改めて査定資料の提出を要求したことに対しても、会社は、個人情報を理由に応じておらず、自らの主張の論拠となる資料等を提示し、組合の要求及び主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明できていたとは認められない。
本件団体交渉の経緯に鑑みれば、会社は、組合に対し、本件一時金の算定に用いた相関表や計算過程が、記録・保存されていたならばその記録に基づき具体的に説明すべきであり、仮に、会社が、それらを記録・保存していなかったならば、可能な限りその内容を具体的に説明すべきであったというべきである。

3 会社の業績は一時金の支給原資に影響していると認められ、会社の業績が分かる資料を何ら示そうとしなかった会社の対応に理由があったとはいえない

4 本件一時金の交渉が継続しているにもかかわらず、会社が一方的に一時金を支給したことは、組合との団体交渉を軽視したものといわざるを得ず、不誠実な対応であったと判断する。

決算書類等の非開示の不当労働行為該当性が争点となる事案は少なくありません。

会社としてはできるだけ見せたくないと思う気持ちも理解できますが、不当労働行為と判断される可能性が高いのでご注意ください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。