不当労働行為295 組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為に当たらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡) 

おはようございます。

今日は、組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為に当たらないとされた事案を見ていきましょう。

学校法人スバルが丘学園事件(大阪府委令和3年2月15日・労判1266号121頁)

【事案の概要】

本件は、組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案を見ていきましょう。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 法人は、就業時間内に団交を行うことで差しさわりがある点を示している一方、組合は、法人が提案する午後6時からの団交開始により、いかなる不利益や不都合があるかを具体的に示すことなく、就業時間内での団交開催を求め続けていたといえ、かかる組合の対応は、就業時間内での団交開催時刻が合意に達しなかったことについて、法人のみに責任があるとはいえない

2 法人が神戸市勤労会館を団交開催場所として提案したことは合理的であったといえ、また、神戸市勤労会館で団交を開催することにより、組合又は少なくとも本件組合員3名に対し格別の不利益をもたらすとはいえず、さらに、法人は、組合が提案する場所以外を指定する理由を組合に一定説明していたといえるのであるから、法人が提案した神戸市勤労会館も団交の開催場所として認め得るところである。
したがって、法人が、神戸市勤労会館での団交開催を主張し、組合の本校内会議室での開催の求めに応じなかったからといって、かかる法人の対応を不合理であったということはできない
組合は、本校会議室以外の場所で団交を開催することで、組合又は組合員が、いかなる不利益を被るかについて具体的に提示することなく、本校会議室での団交開催を求め続けたといえ、かかる組合の対応は、団交の開催場所について労使で協議して決定するという姿勢に欠けていたといわざるを得ない
以上のことからすると、団交開催場所について合意に達しなかったことについて、法人のみ責任があるとはいえない。

開催時間や開催場所を巡って紛争化するケースは少なくありません。

一般的な考え方は、上記命令のポイントのとおりですので、しっかり押さえておきましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。