不当労働行為69(東和交通事件)

おはようございます。 

さて、今日は、タクシー会社労組分会長および組合員に対する出勤時間変更指示と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

東和交通事件(愛知県労委平成25年3月18日・労判1068号92頁)

【事案の概要】

平成22年2月、X組合は、Y社に春闘要求書を提出して、団交を申し入れた。Y社とX組合は、4回の団交を開催した。

Y社は、平成22年8月度にタクシー台数を167台から160台に、23年2月度から151台に減車したことに伴い、乗務員の勤務体系の変更を行うこととした。

Y社は、A分会長およびC組合員に対して、昼間の出勤への変更指示を行った。

なお、タクシー乗務は、昼間より夜間のほうが収益率がよく、A分会長およびC組合員は、従前、主として夜間に乗務していた。

【労働委員会の判断】

A分会長およびC組合員に出勤時間変更を指示したことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・この指示は出勤時間の変更を命じるものであるから、労働時間の変更であるといえる。また、Y社は、同月度以前と比較して格別の不利益があったわけではないことは明らかであると主張するが、歩合給の基礎となる給与対象営収額が減収となっていることが認められ、本件出勤時間変更指示は賃金の減少を招くものであり、不利益性が認められる

2 Y社は、・・・乗務員の勤務体系を変更する必要があったものといえる。また、・・・会社は、X組合等に対し、勤務体系の確認及び周知徹底を目的とする説明会の開催通知をしていることが認められ、手続的に問題があるとはいえない。

3 しかしながら、同月度の異動の基準について、Y社は、最低補償額の支給対象となる月間営収額が低い者を異動の対象としたと主張し、その根拠として平成23年1月度の営収順位表のみを示しているが、本件出勤時間変更指示が同月度満了以前の13日及び14日に行われたことからすると、同月度の営収順位に基づき異動対象者を人選したとは認め難い

整理解雇の場合もそうですが、会社とすれば、それなりの理由から、人選をするわけですが、「それなりの理由」に客観的合理性が認められない場合には、恣意的な人選と評価されてしまいます。

過去の裁判例から、どのような点を裁判所が評価しているのかをチェックしてみるといいと思います。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。