おはようございます。
今日も書面を作成します。
最後の追い込みです!!
がんばります!!
さて、今日は労災に関する裁判例を見てみましょう。
日本電気事件(東京地裁平成22年3月11日・労判1007号83頁)
【事案の概要】
Y社は、コンピュータ、通信機器、電子デバイス、ソフトウエアなどの製造販売を含むインターネット・ソリューション事業を主要な事業とする会社である。
Xは、Y社においてミドルウェア事業部第2技術部の部長等の地位にあったが、経営危機により事業の収益性が厳しく追求されるようになる中で、うつ病を発症し自殺した(死亡当時52歳)。
【裁判所の判断】
三田労基署長による遺族補償給不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定
【判例のポイント】
1 労働者の精神障害の発病等について業務起因性の有無を判断するに当たっても同様に解することになるところ、精神障害の発病については、環境からくるストレス(心理的負荷)と個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まるという「ストレス-脆弱性」理論が広く受け入れられていることが認められることからすると、業務と精神障害の発病との間の相当因果関係、すなわち、ストレス(これには業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷がある。)と個体側の反応性、脆弱性を総合考慮して、業務による心理的負荷が、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発病させる程度に過度であるといえるかどうかを検討し、その過重性が認められる場合には、業務に内在又は随伴する危険が現実化したものとして、当該精神障害の業務起因性を肯定するのが相当である。
2 上記の危険責任の法理にかんがみれば、業務の危険性の判断は、当該労働者と同種の平均的な労働者を基準とすべきであり、このような意味での平均的労働者にとって、当該労働者の置かれた具体的状況における業務による心理的負荷が上記内容の危険性を有しているということができ、業務以外の心理的負荷及び個体側の要因がない場合には、当該労働者の精神障害の発病等について業務起因性を肯定することができるというべきである。
3 Xは、責任者として事業を遂行するうえで強い心理的負荷を受けていたうえ、それ自体がうつ病発症原因となるおそれがある極度の長時間にわたる時間外労働を行っていたことも認められることからすると、Xの業務による心理的負荷は、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重であったというのが相当である。
4 Xのうつ病発症および自殺に至る一連の過程は、業務に内在する危険が現実化したものというべきであり、Xの自殺には業務起因性が認められる。