解雇106(日本郵便事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は、連続26日間の無断欠勤を理由とする懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(東京地裁平成25年3月28日・労経速2175号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において郵便物の集配業務に従事していたXが、26日間連続で無断欠勤したことを理由とする懲戒解雇の無効を主張した事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

【判例のポイント】

1 まず、本件期間中、Xが脳腫瘍等の診断を受けたことは、本人の努力ではいかんともし難い、まことに気の毒なことではあり、その診断を聞いて途方に暮れてしまったことは、一時の心情としては十分理解することができる。しかし、他方で、X自身、本件期間中、いつまでも途方に暮れ続けていたわけではなく、自らの意思で検査入院の手続を取って入院したり、10日間ほど、夕方6時から深夜にかけて、Y社において禁止されている無許可でのアルバイトをしたり、飯田橋のしごとセンター(ハローワーク)には行っていないとのことではあるものの、その界隈には行って仕事探しをしたり、友人宅に泊まったりしていたということであって、病状としても、どうしても直ちに手術が必要という状態ではなかったのであるから、再三にわたって発令された本件出勤命令を受けて、同じ班の同僚にかけているであろう迷惑を慮るとともに、病状等の近況につきY社に対して一報を入れることぐらいは容易に可能であったものというべきである。それにもかかわらず、Xは、本件出勤命令に応じて出勤するどころか、・・・長期間にわたってY社に電話すら掛けずにいたのであって、このことについては、本件出勤命令を再三にわたって無視し続けたという謗りを免れないというべきであり、脳腫瘍等の診断を受けていたことは、本件欠勤に関する就業規則違反事由該当性を正当化し、あるいは、違反性を減じるような事情になるものと評価することはできない

2 他方、手続的な観点からみても、Y社は、合計4回、約90分の弁明の機会をXに与え、本県事情聴取の際、本件欠勤に関する種々の事情を尋ねたにもかかわらず、Xは、自己の病状や検査入院の事実について説明するどころか、本件期間中の自らの行動や電話すら掛けなかった理由について曖昧な返答に終始していたのであり、それにもかかわらず、Y社は、Xに対し、聴取書の記載内容を確認する機会や、諭旨解雇と退職金との関係について説明を受ける機会も与え、退職金はいらないから退職願は書かないと半ば投げやりな態度で答えたXに対し、日を改めて再度翻意の機会まで与えたのであるから、その手続的相当性は十分であると評価することができる

3 ・・・・以上の認定によれば、Xについては、その功労を抹消又は減殺するほどの著しく信義に反する行為があったといわざるを得ないから、就業規則どおり、有効な懲戒解雇処分を受けたXには、退職金請求権は発生しないというべきである。したがって、Xの予備的請求にも理由がない。
無断欠勤はやめましょう。

また、今回のケースでは、事案の重大性から、退職金の減額不支給も妥当だと判断されています。

この点は、控訴審で判断が覆る可能性があると思います。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。