不当労働行為258 技能実習生が加入した労組との団体交渉における使用者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、外国人技能実習生受入れ事業を行う協同組合が実習生の加入した労組の申し入れた団交に応じないことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

中亜国際共同組合ほか事件(広島県労委令和2年3月13日・労判1227号96頁)

【事案の概要】

本件は、外国人技能実習生受入れ事業を行う協同組合が実習生の加入した労組の申し入れた団交に応じないことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に当たらない

【命令のポイント】

1 本件協同組合はA組合員の座学講習の適正な実施について、技能実習制度の範囲内ではあるが、現実的かつ具体的に決定することができる地位にあったものと認められる。したがって、組合が、A組合員の座学講習の適正な実施のために、本件協同組合に対して話し合いを求めたことには相応の理由があると解される。
もっとも、本件協同組合のA組合員に対する座学講習は、監理団体の業務として行われたものと解される。そして、座学講習は雇用契約の効力の発生の前提として密接に関連するものの、座学講習の受講は労務の提供ではないことから、本件協同組合における座学講習の適正な実施に関する事項は、A組合員の基本的な労働条件等に当たらないと解するのが相当である。

2 本件一時帰国の決定は、本件協同組合の監理団体の業務として行われたものと解される。そして、本件一時帰国は、座学講習の中断を意味するものであり、座学講習の受講は労務の提供ではないことから、A組合員の一時帰国における本件協同組合の対応に関する事項は、A組合員の基本的な労働条件等に当たらないと解するのが相当である、
以上のとおりであるから、本件団体交渉事項について、本件協同組合に労働組合法7条2号の使用者性は認めることはできない

労組法上の使用者性や義務的団交事項に関する判断です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。