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さて、今日は、労働問題の包括的解決等を議題とする団交に応じなかったこと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
岡本技研事件(大阪府労委平成25年1月23日・労判1066号94頁)
【事案の概要】
Y社は、自転車・釣具の部品を製造している会社である。
X組合はY社に対し、労働問題の包括的解決、組合員3名に対する懲戒処分の撤回、全外国人労働者の社会保険の遡及加入および社会保険料の会社による全額負担など10項目を議題とする団交を申し入れた。
しかし、Y社は、団交に応じる旨の回答をしなかった。
【労働委員会の判断】
団交拒否は不当労働行為にあたる。
【命令のポイント】
1 Y社の代理人である弁護士が、回答書において、外国人労働者の社会保険の遡及加入等に係る組合からの団交申入れについては、弁護士が交渉担当者となる旨回答した事実は認められる。
しかし、Y社が組合に対して団交に応じる明確な意思表示をしたのは、外国人労働者の社会保険の遡及加入等に係る議題についての一度だけであったということができ、また、その後、Y社又は弁護士が、再度、本件団交申入れの議題の全てについて団交に応じる旨の明確な回答をしたと認めるに足りる事実の疎明はない。
2 以上のことからすると、Y社は、本件団交申入れについて、組合との面談による団交を一度も応じておらず、また、Y社が団交に応じなかったことには正当な理由があるとはいえないのであるから、本件団交申入れに対するY社の対応は、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である。
組合からの団交申入れに対して、顧問弁護士だけで対応すると、こういうことになります。
団体交渉には応じましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。