おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、取締役の言動等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。
イーライフ事件(東京地裁令和6年1月19日・労判ジャーナル151号58頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、未払割増賃金及び労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求め、また、不法行為に基づく損害賠償請求として、300万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
未払割増賃金等支払請求棄却
損害賠償等請求一部認容
【判例のポイント】
1 Y社の取締役であるCの令和2年9月30日の発言は、XとC以外にも、正確な人数は不明であるが複数の従業員がウェブ会議等を通じて参加する営業会議という場でされたものであり、そして、Cは、Xが同日を最終出勤日とすること及び急な引継ぎを要することの説明に加え、同月28日及び同月29日のXとCとのやり取りや顛末の詳細を述べ、その中では、自閉症や対人恐怖症といった精神に関わる障害の名称を示して、Xには対人関係の構築等に問題があるとの意見があったことを述べつつ、CはXを評価しXの労働環境に配慮をしていたにもかかわらず、Xが転職先も答えず、最終出勤日の2日前に退職届を提出し、引継ぎに関するCからの要請に応じなかったことを非難したものであり、その時間は10分から15分に及ぶものであり、このようなCの発言は、業務上の必要に基づくXへの叱責や他の従業員への説明という範疇を超えて、Xの名誉感情を著しく害する行為というべきであるから、Xに対する不法行為となると認めるのが相当であり、Xが被った精神的苦痛に対する慰謝料は、20万円と認めるのが相当である。
慰謝料の相場観で言うとこのような金額です。
弁護士費用との関係ではなかなか判断が難しいところですが、会社のレピュテーションダメージをいかに捉えるかが和解で終わるかに直結しています。
労務管理に関する抜本的な改善については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。