賃金284 固定残業代および変形労働時間制の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業代および変形労働時間制の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

エイチピーデイコーポレーション事件(那覇地裁沖縄支部令和4年4月21日・労判1306号69頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するリゾートホテルの従業員であったXが、Y社に対し、労働契約に基づき、時間外割増賃金等合計882万2183円+遅延損害金、同額付加金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、882万2183円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金882万2183円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 本件出勤簿の体裁、記載内容自体の不自然性や、その記載内容が他のXの稼働状況を示す証拠と整合しないこと、証拠提出の経緯等に照らすと、X本人は出勤簿に記入していなかった旨をいうX主張の当否を措くとしても、本件出勤簿がXの労働時間の実態を反映したものといえるかについては相当疑問があり、本件ホテルにおいて残業申請書や緊急残業申請書の作成等を通じて適正な労働時間管理がされていたとも認め難いというべきである。

2 本件ノートはその成立にXのみしかかかわっておらず、証拠の体裁等においても類型的に信用性が高いものとはいえないものの、その記載内容が他の客観証拠により一応は裏付けられていると評価できることや当時の勤務実態に照らして不自然ともいえないこと等からすると、実労働時間の認定資料として採用し得るものといえる。

3 Y社提出の就業規則には、各直勤務の始業・終業時刻及び各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続や周知方法に関する定めは見当たらないから、変形期間における各週、各日の所定労働時間の特定を欠いているといわざるを得ない。

上記のとおり、原告作成のノートに基づき労働時間が認定されています。

こうならないためにも、使用者側で労働時間をしっかり管理しておく必要があります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。