おはようございます。
今日は、不活動仮眠時間について労働時間該当性が認められた事案について見ていきましょう。
大成事件(東京地裁令和5年4月14日・労経速2549号24頁)
【事案の概要】
本件は、Y社に雇用されて東京都内のビル内での設備管理業務に従事したXらが、Y社は労働基準法所定の割増賃金を支払っていないと主張して、Y社に対し、それぞれ次の各支払を請求する事案である(以下略)。
【裁判所の判断】
Y社は、
①X1に対し、708万2791円+遅延損害金を支払え
②X1に対し、付加金462万9917円+遅延損害金を支払え。
③X2に対し、835万2375円+遅延損害金を支払え。
④X2に対し、付加金557万3823円+遅延損害金を支払え。
⑤X3に対し、427万2058円+遅延損害金を支払え。
⑥X3に対し、381万9861円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 勤務の実態として、当直設備員2名のうちいずれかの仮眠時間に当たる時間帯においても、当直設備員らは、トラブル等に複数名で対応していたもので、2名以上で対応した件数は、平成29年2月から令和元年8月までの2年6か月間に少なくとも46件、Xらが対応したものだけでも33件に上り、その頻度は、1か月間に1件を上回るものであった。
2 設備控室に内線電話、緊急呼出装置、インターフォンが設置されていたほか、設備員は、勤務中、休憩・仮眠の時間であっても館内PHSの携帯を義務付けられ、仮眠時間中であっても、防災センターから容易に連絡を取ることができる状況にあり、仮眠に入る際、寝間着等ではなく、洗濯後の別の制服に着替えていたことをも踏まえれば、仮眠時間中の設備員も労働から離れることはできていなかったと認められ、Xらは、本件仮眠時間中、労働時間に基づく義務として、設備控室における待機とトラブル等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けされていたと認めることができる。
上記の事情が認められる以上、仮眠時間が労働時間にあたることは、過去の裁判例から明らかです。
警備員の労働時間の長さゆえに、結果として高額な未払残業代が認定されています。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。