おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、懲戒処分当時に使用者が認識していなかった非違行為に基づく懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。
富士通商事件(東京地裁令和5年7月12日・労判ジャーナル144号36頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員Xが、Y社が行った解雇は無効である等と主張して、Y社に対して、解雇無効地位確認及び未払賃金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求認容
【判例のポイント】
1 Y社はXに対して懲戒解雇の意思表示をしており、懲戒処分当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情がない限り、その存在をもって当該懲戒処分の有効性を根拠付けることはできないものというべきであるところ、Y社の主張する事情は、解雇理由証明書に記載されておらず、懲戒当時にY社代表者が認識していなかったと認められるから、これらの事情があったとしても、本件懲戒解雇の有効性を根拠づけることはできず、その他、本件では、Y社の主張する懲戒事由が認められないことから、本件懲戒解雇は無効であるから、Xは、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあるとともに、Xが令和3年7月7日以降に労務を提供していないのは、Y社の責めに帰すべき事由によるものといえるから、Y社は、56万3721円の支払義務を負う。
上記太字部分の事情からすれば解雇事由とするのはなかなか難しいですね。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。