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今日は、緊急事態宣言期間中における法人の対応が団交拒否にあたらないとされた事案を見ていきましょう。
社会福祉法人賛育会ほか事件(東京都労委令和5年9月19日・労判1304号82頁)
【事案の概要】
本件は、緊急事態宣言期間中における法人の対応が正当な理由のない団交拒否にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
正当な理由のない団交拒否にはあたらない
【命令のポイント】
1 団体交渉は、労使双方が同席し、対面で自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって、協議、交渉を行うことが原則であり、労使双方の合意がある場合又は直接話し合う方式をとることが困難であるなど特段の事情がある場合を除いては、書面の回答のみによって団体交渉が誠実に実施されたことにはならないというべきである。
2 病院における新型コロナウイルス感染及びクラスター発生の抑止のために緊急事態宣言発令中は対面の団体交渉を実施しないとした法人の対応は、当時の状況下においては、医療機関として相応の合理性のある対応であったというべきであり、直接話し合う方式の交渉を行うことを困難とする特段の事情があったものと認められる。
加えて、組合による3年6月4日付団体交渉申入れに対し、法人が緊急事態宣言が同月20日で解除される見込みであるとして翌21日に団体交渉に応ずる旨を回答し、同日に団体交渉が開催されていること、第4次緊急事態宣言が9月30日をもって終了した際は10月15日に団体交渉が開催されていることから、法人は、緊急事態宣言が終了した際は比較的早期に、対面での団体交渉に応じていたことが認められる。
妥当な判断です。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。