おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、雇用契約書に幅のある月給が記載されている場合の賃金額についての裁判例を見ていきましょう。
カウカウフードシステム事件(大阪地裁令和5年10月12日・労判ジャーナル143号30頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結して就労していたXが、Y社に対し、本件労働契約に基づく未払賃金、未払割増賃金及び労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 Y社の人事担当者は、本件採用面接において、製造業務であれば採用する可能性がある旨を説明し、Xはこれに異論を述べることなく採用手続を経て採用されたことが認められ、以上に加え、月給16万5500円から25万円という記載内容の本件雇用契約書が作成され、本件労働契約締結後の試用期間中は1か月当たり賃金額が25万円であったことが認められ、本採用時に特段の手続きがとられたことをうかがわせる事情は見当たらないし、豊中工場でX以外に従事する従業員の中に月額25万円を超える基本給を受けている者や課税支給合計額で35万円以上の支給を受けている者はいないことからすると、試用期間時の賃金額が本採用時に増額されていないとしても不自然とはいえないから、Xの賃金額は試用期間開始時の時点では25万円であり、本採用時においても特段これを変更する旨の合意は認められないから、25万円であると認められる。
基本的な事実認定のしかたですね。
裁判所がどのような点に着目して事実認定をしているかをチェックすると勉強になります。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。