おはようございます。
今日は、業務によって貯まったポイントの私的費消を理由とする解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。
中央建物事件(大阪地裁令和5年10月19日・労判ジャーナル143号28頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で雇用契約を締結して就労していたXが、Y社による解雇は無効であるとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、解雇後の未払賃金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xは、総務部における勤務中、上司から、担当業務であった酒類購入によって貯まった本件ポイントを当該酒類の購入に充てるように指示があったにもかかわらず、Xは、酒類購入業務によって貯まった本件ポイントを私的に費消しているところ、その使途が美容用品や家電製品等の多岐にわたることに照らすと、本件ポイントには、現金に類似する通用性・利便性があったと考えられ、本件ポイント費消は、Y社に対し、Xが業務上委ねられていた現預金を私的に利用することと同等の経済的損害を与えるものであって、これと同様の信頼関係の破壊をもたらすものであったといわざるを得ないから、本件ポイント費消の性質及び経緯、費消額及び用途並びに回数及び期間に照らすと、本件ポイント費消は、XのY社従業員としての職務上の義務に反するものであり、本件解雇についての客観的に合理的な理由に当たるものと認められる。
魔が差したというか出来心というか・・・とはいえ、ポイントの私的利用は、上記のとおり、現預金の私的流用に類似することから考えれば、懲戒解雇を選択することもやむを得ないと思います。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。