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今日は、契約更新の合理的期待に基づく雇止め無効地位確認等請求が棄却された事案を見ていきましょう。
内藤証券事件(大阪地裁令和5年9月22日・労判ジャーナル142号40頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と期間の定めのある労働契約を締結していたXが、Y社から雇止めを受けたことにつき、契約更新についての合理的期待があり、雇止めは客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められないから労働契約法19条2号により契約更新された、又は雇止めの意思表示が労働組合法7条に違反し無効であるなどと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、民法536条2項により雇止め後の未払賃金を請求した事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xの業務は、臨時的・一時的なものとはいえないものの、本採用に至ってからの契約更新の回数は1回のみであり、雇用の通算期間も2年3か月にすぎず、そして、契約社員契約書には、「契約満了後は、乙(X)の能力、業務成績、勤務態度等により、契約更新の有無を判断する」旨が明記されており、Xにおいても、欠勤の頻度を含む勤務態度等により、契約更新がなされない可能性があることを認識し得たものといえ、そして、Xの勤務期間2年3か月における、取得可能な有給休暇、リフレッシュ休暇を全て取得した上での欠勤日数は50日に及んでいるところ、人事考課の内容や、Xとしても欠勤が多いことを自覚し、契約更新に支障が出ることを懸念していたことが認められるから、Xには契約更新の合理的期待があったとは認められない。
2年3か月の間に、有給休暇等とは別に欠勤日数が50日に及んでいることを理由とした雇止めが認められた事案です。
欠勤理由等によっては、雇止めの合理的理由が認められないのではないかと考え、雇止めを躊躇する場面もあろうかと思いますので、是非、参考にしてください。
日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。