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今日は、団体交渉において組合が要求している資料を提示しなかったことが不誠実団交にあたるとされた事案を見ていきましょう。
夢kitchen事件(奈良県労委令和5年1月23日・労判1298号99頁)
【事案の概要】
本件は、団体交渉において組合が要求している資料を提示しなかったことが不誠実団交にあたるかが争点となった事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる。
【命令のポイント】
1 就業規則は、同法89条により事業所に常時10人以上の労働者を使用する場合には、その作成及び労働基準監督署への届出が義務づけられており、賃金台帳及びタイムカードは、同法第109条により一定期間の保存が義務付けられている。
これらの就業規則、賃金台帳及びタイムカードはいずれも団体交渉の主要な議題であった組合員の時間外労働について交渉するに当たって重要な基礎資料となるものである。Y社は、タイムカードは店長主催の会議での要望を受けて廃棄したと主張するが、そうした事情があるからといって保存義務のある書類の保存期間が経過する前にこれを廃棄することは到底許されない。
以上のことから、これらの書類の提示を組合が要求したにもかかわらず、Y社が提示しなかったことには合理的な理由がなく、労組法7条2号の不誠実団交に該当すると判断するのが相当である。
廃棄したという主張がまかり通りのであれば、都合の悪い資料は全部廃棄したことにするでしょう。
そんなことが認められているのは、どこかの国の官僚と政治家くらいなものです(皮肉)。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。