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今日は、変形労働時間制は無効であるとして、未払割増賃金等支払請求が一部認められた事案を見ていきましょう。
サカイ引越センター事件(東京地裁立川支部令和5年8月9日・労判ジャーナル140号18頁)
【事案の概要】
本件は、Y社に雇用され、Y社において引越運送業務に従事していたXらが、時間外労働に係る割増賃金等が未払であると主張し、Y社に対し支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 本件就業規則において現業職の始業・終業時刻シフトの組合せの考え方、公休予定表の作成手続及び周知方法等の定めはなく、D支社は、労使協定上、いずれのシフトを採用するか明示せず、公休予定表ないし出勤簿においてもシフトの記載は見当たらないところ、時期によって異なるシフトを採用し、シフトAからシフトBへの移行日も全現業職において一律ではなかった上、顧客の引っ越しの関係上個別の従業員ごとに早出・遅出のシフトも組まれていたというのであり、また、現業職の労働時間が、書面により始業・終業時刻をもって特定されていたと評価することはできず、さらに、D支社においては、各月の30日前までに従業員の公休予定表を作成・周知する取扱いが徹底されておらず、公休予定表の作成後も、従業員らの申出以外の理由により、公休予定日が変更されることがまれではなかったことに照らすと、各月の30日前までに公休予定表が作成される形がとられていたとしても、実態として、各期間の労働日が特定されていたと評価することはできないといわざるを得ないから、本件請求対象期間におけるD支社の変形労働時間制の定めは、労働基準法32条の4の要件を充足しないものとして無効である。
本件同様、変形労働時間制の有効要件を満たさず、無効と判断されているケースが後を絶ちません。
安易に同制度を導入することは控えるべきでしょう。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。