Daily Archives: 2024年2月15日

不当労働行為312 組合員がグループLINEを使用して社内の友人に組合への加入を勧誘するメッセージを送信したこと等を理由として減給の懲戒処分としたことが不当労働行為にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員がグループLINEを使用して社内の友人に組合への加入を勧誘するメッセージを送信したこと等を理由として減給の懲戒処分としたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

カンプロ事件(茨城県労委令和4年10月20日・労判1295号101頁)

【事案の概要】

本件は、組合員がグループLINEを使用して社内の友人に組合への加入を勧誘するメッセージを送信したこと等を理由として減給の懲戒処分としたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xによる本件グループLINEへの本件メッセージの送信は、組合への加入勧誘を行う目的でなされたものであり、その内容が事実に反している部分があるが、Xに殊更、虚偽の事実を送信したとの認識がなく、また、Y社の信用・信頼を失墜させることについて、あえて意図した証拠はない。加えて、本件メッセージが拡散した事実は認められない。また、本件処分は、懲戒処分としては重すぎるものと判断せざるを得ず、懲戒処分は、Xに対する不利益取扱い(労組法7条1号)に当たる。

2 本件処分がなされることは、組合員はもちろん、従業員が組合への加入や何らかの関与を行った場合には、本件処分のような懲戒処分等がなされるおそれを抱かせ、ひいては、従業員の組合への不加入、組合員の脱退などの組合の活動・運営を阻害するおそれがある。よって、本件処分は、XによるY社従業員に対する組合への加入勧誘行為に干渉するものであり、組合に対する労組法7条3号の支配介入に当たる。

上記命令のポイント1のような事情がある場合、会社としては、何らかの懲戒処分を検討することは理解できるところですが、減給は重すぎる(相当性に欠く)という判断です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。