おはようございます。
今日は、有期労働契約を理由とする労働条件の相違と同一労働同一賃金の原則について見ていきましょう。
日東電工事件(津地裁令和5年3月16日・労判ジャーナル136号24頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と期間の定めのある労働契約を締結していたXら60名が、期間の定めのない労働契約を締結している労働者とXらとの間で、通勤手当、扶養手当、リフレッシュ休暇、賞与及び賃金、年次有給休暇、特別休暇及び福利厚生等に相違があったことは改正前労働契約法20条に違反するものであったと主張し、Y社に対し、主位的に、不法行為に基づき、損害賠償金等の支払を求めるとともに、Xらは、Y社との当初の労働契約締結時から雇用区分の中における有期雇用契約社員ではなく準社員であったのに賞与が支払われなかったとして、主位的に、不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求め、予備的に、準社員としての地位に基づく賞与支払請求権に基づき未払賞与等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 通勤手当は、正社員は正社員就業規則によりその支給がされるが、有期雇用契約社員にはその規定がなく、実際に支給されていなかったことから、この相違は労働契約の期間の定めの有無によるものと認められるところ、Y社において、通勤バスを手配し、その経路についても有期雇用契約社員にある程度配慮した上で決定されており、通勤手当を支給しない代わりの代替手段が存在し、十分に機能していたものといえるから、通勤手当の相違が、不合理であるとは認められない。
2 扶養手当は、正社員賃金規則所定の条件を満たせば扶養手当が支給される一方で、有期雇用契約社員らにはその規定がなく、実際に支給されていなかったから、この相違は労働契約の期間の定めの有無によるものと認められるところ、Y社の正社員に対して扶養手当が支給されているのは、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障や福利厚生を測り、扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられ、上記目的に照らせば、有期雇用契約社員らにおいても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、扶養手当を支給することとした趣旨は同様に妥当するというべきであり、正社員とXらのように長期にわたって勤務している有期雇用契約社員らとの間に扶養手当に係る労働条件の相違があることは、不合理であると認められる。
うーん・・・なんというか、言葉遊びというか物は言いようというか。
どう説明するかだけの問題のように思えてきます。
日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。