おはようございます。
今日は、夜勤開始前の労働時間該当性に関する裁判例を見ていきましょう。
TSK事件(東京地裁令和4年12月3日・労判ジャーナル135号50頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で労働契約を締結して物品の検品及び警備業務等に従事していたXが、Y社に対し、未払時間外割増賃金等の支払を求め、年次有給休暇の時季指定権を行使し、40日の年休を取得したにもかかわらず、そのうち20日分に相当する賃金の支払を受けていないとして、賃金19万円等の支払を求め、労働基準法114条に基づく付加金約785万円等の各支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 Xは、日勤時の昼休憩を取るときは、制服を着たまま、駐車場に停めている自らの車で休憩を取り、車内で食事などをしていたところ、夜勤開始前時間においても、駐車場に停めている自らの車の中で食事をしていること、本件施設の構内に出ることも可能であったことが認められ、X自身も当法廷において、「仕事してもしなくてもいい時間」である旨供述していることに照らせば、夜勤開始前時間においては労働からの解放が保障されていたというべきであるから、夜勤開始前時間において、実質的にXに労働契約上の役務の提供が義務付けられているとはいえず、夜勤開始前時間はXが使用者の指揮命令下に置かれているとはいえず、労働基準法上の労働時間に当たらない。
この内容からすれば、指揮命令下に置かれていたとは評価できませんね。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。