おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。
今日は、警備現場からの移動時間など勤務実績報告書の提出等に要した時間が労働時間に該当するとされた事案を見ていきましょう。
テイケイ事件(東京地裁令和4年6月1日・労経速2502号28頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と労働契約を締結したXが、Y社に対し、平成30年10月から平成31年9月までの期間における時間外労働に対する割増賃金及び交通費の不払がある旨主張して、①労働契約及び労基法37条1項に基づき、8万3715円+遅延損害金、②労基法114条に基づき、付加金7万3860円+遅延損害金、③労働契約に基づき、交通費7110円+遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
1 Y社は、Xに対し、6万1179円+遅延損害金を支払え。
2 Y社は、Xに対し、2万8728円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 Xは、毎週水曜日に、本件支社に赴き、勤務実績報告書を提出していたほか、制服等を着用し、内勤の従業員による点検を受け、シフト希望表を作成して提出し、賃金支払票の交付を受けていたことが認められるところ、これら本件業務報告等はXの業務に関連する行為であることは明らかである。
そして、本件書面には、警備員には、週に1度、水曜日に会社に来てもらい、勤務希望表及び勤務報告書の提出、給料明細の受取り、制服の点検等を行う旨記載されていること、Xは現場における業務がない日もわざわざ自宅から本件支社に赴いて本件業務報告等を行っていることを踏まえると、本件業務報告等は、Y社の明示又は黙示の指示により行った業務というべきであり、これに要した時間は労働時間に該当するというべきである。
2 Y社は、警備員に対し、勤務実績報告書を本件支社に持参することを義務付けておらず、郵送やファクシミリにより行うことも可能であった旨主張し、郵送での提出が認められたことがあることを示す証拠を提出している。
しかしながら、勤務実績報告書の提出自体は業務命令であることは明らかであるし、警備員の本件業務報告等の対応を行っていたP1課長は、警備員の7割程度は勤務実績報告書を本件支社に持参していたにもかかわらず、持参する警備員に対し、郵送やファクシミリでの対応が可能であることを明確に指示していたとはうかがわれないのであるから、例外が認められる場合はあるにせよ、原則としては本件支社に勤務実績報告書を持参することを求めていたというべきであって、勤務実績報告書の提出に要した時間は、Y社の指示により業務を行った時間というべきである。
理屈からするとこのような結論になることはほとんど争いがないところかと思います。
決して警備員に限った話ではないのでみなさんも気を付けましょう。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。