Daily Archives: 2023年1月11日

解雇378 試用期間満了による契約社員の本採用拒否が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、試用期間満了による契約社員の本採用拒否が有効とされた事案を見ていきましょう。

柏書房事件(さいたま地裁令和4年4月19日・労経速2494号24頁)

【事案の概要】

本件は、Xは、Y社が令和2年2月4日をもってした解雇は無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と解雇後の賃金の支払を求めるとともに、在職中に上司らがXを執拗に叱責したことが不法行為(パワーハラスメント)に当たるとして、民法715条1項、709条、会社法350条に基づく損害賠償請求として慰謝料等110万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、経験者として採用されたにもかかわらず、書店担当者の不在を確認せずに訪問したり、電話営業で不在であった担当者に再度電話をかけないまま放置したりし、結果としてY社が営業担当者に期待する売上を達成できない日が多くあるなどしたほか、Y社代表者の指示や営業部会の決定に反し、Pに対して本件書籍の帯の制作を止めるよう連絡せず、あたかも使用する場合に備えて制作は進めておくかのような連絡をし、Pから帯のデザインが送られてきても営業部内で情報を共有せず、また、無断で書店に帯を送った後に営業部会で帯の活用を提案し、却下されてもなお帯を送ったことを報告しないなど、業務命令に違反し、注意や叱責を受けてもこれを不当と捉えて内省しなかったものであり、Xの妻と思しき人物による誹謗中傷や抗議の電話などと同時期に体調不良を理由に出社しなくなり、本件解雇の通知書を受けると、出社無用との指示どおり、欠勤の連絡もしなくなったものである。
かかるXの勤務態度、業務成績、勤怠等を踏まえれば、Xは、小規模出版社であるY社の営業職としての適性を有するとは認め難いところ、かかる事情は、Y社がXについて本採用を拒絶し、試用期間満了をもって契約を終了させることにつき、やむを得ない事由に該当するというべきである。

経験者として中途採用された従業員の場合、当然、新卒の従業員とは求められるレベルが異なります。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。