管理監督者55 民泊グループの責任者の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、民泊グループの責任者の管理監督者性について見ていきましょう。

ニューアート・テクノロジー事件(東京地裁令和4年3月16日・労判127号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結していたXが、Y社により普通解雇されたことから、Y社に対し、Y社による解雇は無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記解雇後に生ずる未払賃金等の支払を求め、また、解雇前の未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

未払割増賃金請求一部認容

【判例のポイント】

1 Xは、民泊グループの責任者であり、同グループには他に5人程度の従業員が所属していたことが認められるが、他方で、Xが部下従業員の採用、人事考課、勤務割等に関して何らかの権限を有し、また、経営者に代わって他の労働者の労働時間等を決定し、他の労働者の労務を管理監督する権限と責任を有していたことを認めるに足りる証拠はなく、また、Xは、他の従業員と同様に勤怠記録によって出退勤が管理されていたところ、所定始業時刻に遅れた場合にはその都度遅延証明書を提出し、Y社から承認を得ており、遅刻した場合には1時間単位で賃金を減額されたこともあったことからすれば、Xは、その勤務態様について自由な裁量を有していたとまでは認められず、Y社は、Xは職務手当として月15万円を支給されており、Xの給料は他の従業員と比較して高額であったと主張するが、その一方で、他の従業員の給与の額については明らかにしないため、Y社の主張を採用することはできないから、Xは、管理監督者に該当するとは認められない。

このような働き方で管理監督者性が肯定される可能性は0です。

管理職で管理監督者に該当する方はほとんどいませんのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。