おはようございます。
本日をもちまして、今年の営業を終了いたします。
今年も一年、皆様には大変お世話になりました。
弁護士、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
来年は1月5日(木)より営業を開始いたします。
来年も精一杯、依頼者の皆様のために精進してまいりますので、宜しくお願い致します。
なお、顧問先会社様におかれましては、年末年始のお休み中も対応しておりますので、
ご相談等がありましたら、いつでもご遠慮なく、栗田の携帯電話にご連絡ください。
それでは皆様、良いお年を!
静岡市葵区の弁護士・社会保険労務士 栗田勇(くりたいさむ)のブログです。労働問題に関する最近の判例を取り上げています。
おはようございます。
本日をもちまして、今年の営業を終了いたします。
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来年は1月5日(木)より営業を開始いたします。
来年も精一杯、依頼者の皆様のために精進してまいりますので、宜しくお願い致します。
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それでは皆様、良いお年を!
おはようございます。
今日は、賃金規程変更の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。
インターメディア事件(東京地裁令和4年3月2日・労判ジャーナル127号44頁)
【事案の概要】
本件は、y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払、付加金等の支払、会社従業員及び代表者のパワーハラスメントによって精神的及び身体的苦痛を受け、退職を余儀なくされたことにより、賃金6か月分の額に相当する損害が生じたなどとして、民法709条、715条1項及び会社法350条に基づき、損害賠償金180万円等の支払を求め、これに加え、労働契約に基づき、未払の退職一時金約52万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
未払割増賃金請求、損害賠償請求は一部認容
退職一時金請求は棄却
【判例のポイント】
1 本件規定を導入する賃金規程の変更の効力に関して、本件変更について、労働者の自由な意思に基づいて合意がされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するということはできないから、これによりXの労働条件が変更されたと認めることはできず、また、労働契約法10条本文に基づく変更の効力について、本件変更は、労働者にとって重要な労働条件である賃金に関する変更であるところ、これにより労働者の受ける不利益の変更の程度は、重大であり、他方で、変更の必要性については、Y社において、以前から会社内においてみなし残業代という考え方があったなどと主張するのみであって、上記のような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性があるものとは認められず、また、変更の内容についても、56時間ないし42時間もの長時間の時間外労働につき法の定める割増賃金を請求することができなくなるという、必ずしも合理的とはいい難いものであり、上記不利益に対する代償措置も、月額2万円程度の手取り給与の増額のみであって、十分とはいい難く、さらに、本件変更について労働者との間で十分な交渉がされた形跡は認められないから、本件変更は、合理的であるとは認められず、X・Y社間の労働契約の内容を変更する効力は認められない。
賃金に関する不利益変更を行う場合には、減額幅にもよりますが、かなり有効要件が厳しいため、安易に変更すると多くの場合、無効と判断されます。
手続を行う場合には、必ず顧問弁護士に相談の上、慎重に進めましょう。
おはようございます。
今日は、本の紹介です。
帯には「蟻地獄から脱出するためのヒントは『努めて力まない』やわらかな生き方にある」と書かれています。
肩の力を抜くことの大切がよくわかります。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「足して、足して、どんどん足し続ける。そんな足し算的な人生はここまで足せばOKというゴールはない。人々のもっぱらの関心は、この人生の足し算をいかに上手くやるか、それによって成功やお金や幸福をどれだけ多くつかむか、ほとんどそのことにつきるように見える。」(3頁)
まあ、足し算に幸せを感じる人は、それでいいでしょう。
現に、ほとんどの人が足し算的人生を選択していますので、それはそれでいいと思います。
他方で、足し算に幸せを感じない私のような人たちは、無理して足し算的な人生を送る必要などありません。
なんだったら、引いて、引いて、どんどんリュックの中の重たい荷物を取り出していくことのほうがよほど幸せを感じます。
人生を通じて、積み木を積んでいくことに何の興味も関心もないのです。
あるがまま、我がままに自由に生きていることそれ自体に幸せを感じます。
おはようございます。
今日は、民泊グループの責任者の管理監督者性について見ていきましょう。
ニューアート・テクノロジー事件(東京地裁令和4年3月16日・労判127号42頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結していたXが、Y社により普通解雇されたことから、Y社に対し、Y社による解雇は無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記解雇後に生ずる未払賃金等の支払を求め、また、解雇前の未払賃金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
解雇無効
未払割増賃金請求一部認容
【判例のポイント】
1 Xは、民泊グループの責任者であり、同グループには他に5人程度の従業員が所属していたことが認められるが、他方で、Xが部下従業員の採用、人事考課、勤務割等に関して何らかの権限を有し、また、経営者に代わって他の労働者の労働時間等を決定し、他の労働者の労務を管理監督する権限と責任を有していたことを認めるに足りる証拠はなく、また、Xは、他の従業員と同様に勤怠記録によって出退勤が管理されていたところ、所定始業時刻に遅れた場合にはその都度遅延証明書を提出し、Y社から承認を得ており、遅刻した場合には1時間単位で賃金を減額されたこともあったことからすれば、Xは、その勤務態様について自由な裁量を有していたとまでは認められず、Y社は、Xは職務手当として月15万円を支給されており、Xの給料は他の従業員と比較して高額であったと主張するが、その一方で、他の従業員の給与の額については明らかにしないため、Y社の主張を採用することはできないから、Xは、管理監督者に該当するとは認められない。
このような働き方で管理監督者性が肯定される可能性は0です。
管理職で管理監督者に該当する方はほとんどいませんのでご注意ください。
日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。
おはようございます。
今日は本の紹介です。
今から10年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。
「褒める」ということにフォーカスをした非常に前向きな内容です。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「いいところを探すか、悪いところを探すかで、あなたが幸せになるか、不幸になるか、魅力的になるか、そうでなくなるかが分かれるのです。」(28頁)
物事はすべて、どこにフォーカスするかによって、評価は良くも悪くもなります。
あらゆることに批判的な人は、いかなる状況におかれても満足度が低く、ゆえに幸せ度が低いです。
いつも不満を感じ、不幸の原因を外的要因に求めます。
本当は、そう解釈している自分が原因なのに。
人生は、自分の選択と解釈によってつくられています。
おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、営業成績不良を理由とする退職扱いの有効性に関する裁判例を見ていきましょう。
日本生命保険事件(東京地裁令和4年3月17日・労判ジャーナル127号40頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と労働契約を締結し、保険営業の業務に従事していたXが、Y社に対し、主位的に、解雇(労働契約の終了)について解雇権濫用により無効であると主張し、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払を求め、また、Y社の従業員からパワーハラスメントを受けた旨主張し、不法行為又は債務不履行による損害賠償金1100万円等の支払を求め、予備的に、上記解雇が有効であるとしても、Y社の従業員から違法な勧誘行為を受けて前勤務先を退職してY社に入社させられたことが不法行為に当たる旨主張し、不法行為による損害賠償金530万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 本件労働契約において、Xの営業成績が職選基準に達しない場合は営業員としての資格を失い、労働契約が終了する旨が記載され、営業職員規程において、職選基準の具体的な内容及び未達成の場合に退職となる旨が記載されていること、Y社は特別教習生に対する研修において職選基準を達成することができなければ契約が終了する旨を説明していること、Xは、Y社から交付されていた端末を通じて自らの職選基準の達成状況を確認することができたこと、営業部長であるCは営業職員との毎月の面談時に職選基準の内容、職選基準が未達成の場合には本件労働契約が終了するとされていたこと、及び、自らの職選基準の達成状況について認識していたものと認められるから、本件退職扱いは、客観的合理的理由及び社会的相当性を欠くものとは認められず、本件退職扱いは有効である。
基準が明確なのはよくわかりますが、このようなケースでは基準に満たない場合は解雇が有効と判断されるようです。
解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。
おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。
今日は本の紹介です。
まさにタイトルのとおり、ミニマリストの生き方を提唱しています。
私もその1人でございます。
なにを幸せと感じるか。 そういう話です。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「予定や物や、目に見えるものがたくさんあればあるほど、人間はそれに縛られる。物がなければとらわれるものはなく、この上なく自由だ。富や権力や欲望から自由になることができてはじめて、ほんとうの贅沢を知る。」(74頁)
幸せの定義は人それぞれ。
他人に自分の幸せの定義を押し付けるものではありません。
他人の評価で自分の幸福度を測ってはいけません。
不幸になるだけです。
自分が幸せと感じるのであれば、誰に何と言われてもそれでいいのです。
おはようございます。
今日は、定年後再雇用の合意解除の有効性について見ていきましょう。
ヤマサン食品工業事件(富山地裁令和4年7月20日・労判1273号5頁)
【事案の概要】
本件は、各種山菜の缶詰などの製造販売、輸入業務等を業とするY社に定年まで勤務していた従業員Xが、Y社から、Xが譴責の懲戒処分を受けたことが、本件合意に定める本件合意の破棄条項の「就業規則の定めに抵触した場合」に該当することを理由に、上記始期付き嘱託雇用契約を解除する旨の通知を受け、定年後の再雇用を拒否されたところ、このような合意の解除は、客観的に合理的な理由及び相当性に欠け、権利の濫用に当たり無効であるなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認などを請求したものである。
【裁判所の判断】
1 地位確認認容
→バックペイ認容
2 Y社はXに対し、172万6516円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 Y社における継続雇用制度は、平成24年改正の趣旨を踏まえ、就業規則に定める基準年齢に達するまでは、本件労使協定に定める基準を適用することなく、解雇事由又は退職事由に該当する事由がない限り再雇用し、上記基準年齢に達した後は、本件労使協定に定める基準を満たす者に限って65歳まで再雇用する旨定めるものと解釈すべきである。
2 Xの懲戒事由該当行為が、職場の秩序を乱したとか情状が悪質であるなどの就業規則に定める解雇事由に相当するほどの事情であるとはいえない。
定年前約2年間におけるXの人事評価の結果を全体としてみると、Y社の人事評価制度やそれに基づく査定を前提としても、せいぜい標準ややや下回っているという程度であり、解雇事由や退職事由に相当するほど著しく不良であるとはいえない。
以上によれば、Xは、高年法及びY社の継続雇用制度に基づき、年齢を除く解雇事由又は退職事由に該当する事情がない限り、令和2年7月20日の定年退職後もY社に再雇用される立場にあり、現に本件合意が締結され、年齢を除く解雇事由又は退職事由に該当する事情も認められなかったのであるから、本件合意に定められた条件において、本件就業規則抵触条項に定める解除条件を充足したとして本件合意を解除し、Xを再雇用しないことは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とは認められないから、Y社による本件解除は無効である。
定年後の再雇用拒否に関しても、解雇と同様の判断方法が採用されますので、そう簡単にはできません。
高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。
おはようございます。
今日は本の紹介です。
表紙には、「”あくせく”をやめれば、人生はうまくいく!」と書かれています。
辞書によれば、「あくせく」とは、細かいことを気にして、落ち着かないさま。目先のことにとらわれて、気持ちがせかせかするさまだそうです。
まったく幸せそうではありません(笑)
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「強調したいのは、30代とはこうだ、40代、50代というのは・・・という既成概念をすて去るべきだということです。そういうものを意識としてもちつづけていると、『予定どおり』しっかりと老化していくでしょう。」(197頁)
笑
Age is a number, that’s all.
It has no limitations.
The only limitations are the ones you set for yourself.
年齢なんて何かの言い訳にするときに都合よく持ち出す単なる数字にすぎません。
すべては自分の気持ち次第。
おはようございます。
今日は、訪問看護師における緊急看護対応業務のための待機時間の労働時間該当性について見ていきましょう。
アルデバラン事件(横浜地裁令和3年2月18日・労判1270号32頁)
【事案の概要】
本件は、特例有限会社であったY社と雇用契約を締結し、訪問看護ステーションの看護師としての労務に従事したXが、Y社に対し、雇用契約に基づき、平成28年8月分から平成30年11月分までの時間外、休日及び深夜の割増賃金等1152万8940円+遅延損害金等の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
Y社はXに対し、1055万8236円+遅延損害金を支払え
Y社はXに対し、付加金783万2119円+遅延損害金を支払え
【判例のポイント】
1 緊急看護対応業務は、看護ステーションAの訪問看護利用者、介護施設Bの利用者及びホームCの入居者が緊急に看護を要する事態となった場合に、利用者ないし入居者、家族、施設職員等からの呼出しの電話があれば直ちに駆けつけ、看護、救急車の手配、医師への連絡等の緊急対応を行うことを内容とするものであり、看護師が呼出しを受ける理由としては、例えば、発熱、ベッドからの転落、認知症患者の徘徊、呼吸の異変等があり、実際に駆け付けることまではしない場合にも、救急車の手配、当面の対応の指示等をするときもあることが認められる。そして、緊急看護対応業務のための待機とは、前記緊急看護対応業務が必要となる場合に備えて、看護ステーションAの従業員が、Y社からの指示に基づき、シフトに応じて緊急時呼出用の携帯電話機を常時携帯している状況をいう。
2 このような業務の内容等を踏まえると、No1の携帯電話機を所持して緊急看護対応業務のための待機中の従業員は、雇用契約に基づく義務として、呼出しの電話があれば、少なくとも、その着信に遅滞なく気付いて応対し、緊急対応の要否及び内容を判断した上で、発信者に対して当面の対応を指示することが要求され、必要があれば更に看護等の業務に就くことも求められていたものと認められる(しかも、Y社の主張するところを前提としても、緊急出動(オンコール出勤)をした場合の稼働時間として通常は30分から1時間程度を要するというのである。)のであって、呼出しの電話に対し、直ちに相当の対応をすることを義務付けられていたと評価するのが相当である。
なお、Y社は、緊急看護対応の業務については、2名ずつの当番制を採用し、No2の携帯電話機を所持する担当者も待機させ、当番でない従業員も緊急出動(オンコール出動)するなど臨機応変に対応する態勢にあったと主張するものの、あくまでNo1の携帯電話機を所持する担当者が優先して対応するものと指示されていたことに加えて、平成29年1月16日から平成30年11月15日までの1年10か月の間に、No2の携帯電話機を所持する担当者が実際に緊急出動(オンコール出動)に従事した回数は2回、当番以外の従業員がこれに従事した回数は3回にとどまることが認められるから、緊急看護対応業務の態勢についての前記Y社の主張を考慮しても、No1の携帯電話機を所持する担当者が上記対応を義務付けられていたとの評価が直ちに左右されるものではない。
3 緊急看護対応業務に従事するための待機時間中、待機場所を明示に指定されていたとは認められず、外出自体は許容されていたこと(もっとも、呼出しの電話があれば、緊急看護対応が必要な事態の内容によっては、直ちに駆け付けなけれならないことは前記のとおりであるから、外出先の地理的範囲はその限度において自ずと限定されるというべきである。)を考慮しても、上記待機時間は、全体として労働からの解放が保障されていたとはいえず、雇用契約上の役務の提供が義務付けられていたと評価することができる。
待機時間の労働時間該当性が争点となることは少なくありません。
典型例は警備業や運送業ですが、本件では訪問看護師について判断されています。
いずれも認容される金額が大きくなる傾向にありますので、事前の対策が必要不可欠です。
日頃から顧問弁護士に相談の上、労働時間の考え方について正しく理解することが肝要です。