Daily Archives: 2022年11月29日

解雇376 職場における暴言等を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、職場における暴言等を理由とする解雇に関する裁判例を見ていきましょう。

アドバネット事件(東京地裁令和4年2月10日・労判ジャーナル125号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社による解雇は無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の地位確認、未払賃金等の支払、Y社及びY社の従業員からXが受けた言動及び処分等にかかる不法行為及び使用者責任に基づく慰謝料100万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、従業員であるK及び上司であるHにスマートフォンを向け録音撮影する、Hをにらむ、Hに対し紙を丸めて投げつける、K及びHの席周辺を歩き回る、監視カメラが設置されていると訴えて他の従業員に探させるなどしたほか、H及び従業員であるQに対し、殺すぞなどと殺害をほのめかすような発言をし、執務室においてもお前らのやっていることは犯罪だからななどと発言し、同僚に態度が大きいなどと詰問しY社代表者が止めに入ってもすぐに止めないなど、社会通念上、職場において行われる言動を逸脱し、周囲にいる者に恐怖や身の危険を感じさせる言動を行っていたことが認められ、そして、E支社の従業員のほとんどがXに対して恐怖を抱き、Xのいる場所では仕事ができないと訴え、Xとの業務を避ける、執務室外で業務を行うことをやむなくされるなどの状況が生じており、通常どおりの業務遂行に支障が生じていたことが認められ、Xの行為及び挙動は、就業規則所定の諭旨退職・懲戒解雇事由に該当するというべきであるところ、Y社として、できる限りXとの労働契約を続ける努力をしたものの、最終的にXが約束を破ったことで完全に信頼関係が破壊されたとして本件解雇を選択することもやむを得なかったというべきであるから、本件解雇は客観的合理性があり社会通念上相当であって有効である。

上記判例のポイント1の前半部分に記載されている内容をいかに立証するかという観点で証拠を残す必要があります。

どのような方法で証拠を残すかについては、顧問弁護士にご相談ください。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。