おはようございます。
今日は、横領等を理由とする組合の分会長を懲戒解雇処分としたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。
樽本機工事件(大阪府労委令和3年1月22日・労判1266号122頁)
【事案の概要】
本件は、横領等を理由とする組合の分会長を懲戒解雇処分としたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 F分会長が本件解体下架工事においてQから支払われたスクラップ代金の一部をG次長から受け取ったことが、懲戒解雇処分に値する着服、横領であると判断するには、なお証拠不十分であると言わざるを得ず、そうした会社の判断が妥当であるかどうかについては、疑問の残るところである。
2 本件懲戒解雇処分は、団交において労使関係の運営に係る事項を中心に労使間の主張の相違が解消されない中で、会社が組合に対して一方的に否定的な感情及び警戒感を抱いている状況において、当日行われる予定の第3回団交を意識してF分会長に通知され、かつ、分会結成通知の翌日から準備を始めて、3か月足らずという極めて近接した時期になされ、その理由の合理性については疑問が残り、その手続が合理性を欠き、さらに、その結果として、組合員でない他の4名の従業員に対する処分との間には大きな不均衡が存在するのであるから、会社の不当労働行為意思に基づいてなされたものとみるべきであって、組合員であるが故の不利益取扱いに当たり、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
組合員に対する懲戒解雇の不当労働行為該当性は、一般的な懲戒解雇の有効性判断と特に大きな違いはありません。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。