Monthly Archives: 8月 2022

本の紹介1306 成長したければ、自分より頭のいい人とつきあいなさい#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

コンフォートゾーンの中にいては、成長は望めません。

毎日同じ人とだけ一緒にして、どうやって成長するのでしょう。

まさに本のタイトルのとおりです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

状況? 何が状況だ。 私が状況を作る。
Circumstances? What are circumstances? I make circumstances.-Napoleon Bonaparte」(72頁)

やらない理由、やめる理由なんて、いくらでも思いつきますよね。

暑い、寒い、眠い、だるい、疲れた、忙しい、遊びたい、面倒くさい・・・

現状に不満を抱く理由も、いくらでも出てきますよね。

会社のせい、上司のせい、親のせい、あいつのせい、不景気のせい、政治のせい・・・

で?

状況は好転した?

言い訳ばかり。

人のせいにしてばかり。

赤ちゃんみたい(笑)

不当労働行為292 合意成立の見込みのない誠実交渉命令が労働委員会による裁量権の範囲を逸脱しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、合意成立の見込みのない誠実交渉命令が労働委員会による裁量権の範囲を逸脱しないとされた事案を見ていきましょう。

山形大学事件(最高裁令和4年3月18日・労経速2479号3頁)

【事案の概要】

本件は、労働組合Xから、使用者であるY社の団体交渉における対応が労働組合法7条2号の不当労働行為に該当する旨の申立てを受けた処分行政庁が、労働組合Xの請求に係る救済の一部を認容し、その余の申立てを棄却する旨の命令を発したところ、処分行政庁が、Y社を相手に、本件命令のうち上記の認容部分の取消しを求める事案である。

原審は、要旨次のとおり判断し、本件認容部分は違法であるとして、その取消しを求めるY社の請求を認容すべきものとした。
本件命令が発せられた当時、昇給の抑制や賃金の引下げの実施から4年前後経過し、関係職員全員についてこれらを踏まえた法律関係が積み重ねられていたこと等からすると、その時点において、本件各交渉事項につきY社と労働組合Xとが改めて団体交渉をしても、労働組合Xにとって有意な合意を成立させることは事実上不可能であったと認められるから、仮にY社に本件命令が指摘するような不当労働行為があったとしても、処分行政庁が本件各交渉事項についての更なる団体交渉をすることを命じたことは、その裁量権の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。

【裁判所の判断】

破棄差戻し

【判例のポイント】

1 労働委員会は、救済命令を発するに当たり、不当労働行為によって発生した侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図るという救済命令制度の本来の趣旨、目的に由来する限界を逸脱することは許されないが、その内容の決定について広い裁量権を有するのであり、救済命令の内容の適法性が争われる場合、裁判所は、労働委員会の上記裁量権を尊重し、その行使が上記の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではない(最高裁昭和52年2月23日大法廷判決参照)。

2 労働組合法7条2号は、使用者がその雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止するところ、使用者は、必要に応じてその主張の論拠を説明し、その裏付けとなる資料を提示するなどして、誠実に団体交渉に応ずべき義務を負い、この義務に違反することは、同号の不当労働行為に該当するものと解される。
そして、使用者が誠実交渉義務に違反した場合、労働者は、当該団体交渉に関し、使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができず、誠実な交渉を通じた労働条件等の獲得の機会を失い、正常な集団的労使関係秩序が害されることとなるが、その後使用者が誠実に団体交渉に応ずるに至れば、このような侵害状態が除去、是正され得るものといえる。
そうすると、使用者が誠実交渉義務に違反している場合に、これに対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令を発することは、一般に、労働委員会の裁量権の行使として、救済命令制度の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたるものではないというべきである。

3 ところで、団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないと認められる場合には、誠実交渉命令を発しても、労働組合が労働条件等の獲得の機会を現実に回復することは期待できないものともいえる。
しかしながら、このような場合であっても、使用者が労働組合に対する誠実交渉義務を尽くしていないときは、その後誠実に団体交渉に応ずるに至れば、労働組合は当該団体交渉に関して使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができるようになるとともに、組合活動一般についても労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られるから、誠実交渉命令を発することは、不当労働行為によって発生した侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図ることに資するものというべきである
そうすると、合意の成立する見込みがないことをもって、誠実交渉命令を発することが直ちに救済命令制度の本来の趣旨、目的に由来する限界を逸脱するということはできない
また、上記のような場合であっても、使用者が誠実に団体交渉に応ずること自体は可能であることが明らかであるから、誠実交渉命令が事実上又は法律上実現可能性のない事項を命ずるものであるとはいえないし、上記のような侵害状態がある以上、救済の必要性がないということもできない。
以上によれば、使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、労働委員会は、誠実交渉命令を発することができると解するのが相当である。

有名な最高裁判決ですので押さえておきましょう。

労働委員会には広範な裁量が認められていることの帰結です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1305 ヤバすぎる成功法則#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

著者は、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の主人公のモデルの方です。

プロフィールによると、26歳で年収49億円を稼ぎ、その後、証券詐欺とマネーロンダリングの罪で起訴され、22か月間服役したそうです。

ローラーコースターのような人生ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『お金持ちになりたい』『成功したい』と願う人はこの世の中に腐るほどいる。しかし、そのために何かを具体的に実践している人は意外と少ない。」(16頁)

というか、何かを具体的に実践している人なんてほとんどいないのではないでしょうか。

全体のほんの数パーセントだと思います。

多くの人は、現状に不満を抱きつつも、不平不満や愚痴をこぼしているだけではないでしょうか。

大昔から言われ続けていることですが、時間は皆平等に与えられています。

有限である時間をどう使うかで、人生は大きく変わります。

人生を変えたければ、人が寝ているとき、休んでいるとき、遊んでいるときに努力をし続けるほかありません。

解雇371 リハビリ出勤を経ることなく、連続欠勤を理由とする解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、リハビリ出勤を経ることなく、連続欠勤を理由とする解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。

三菱重工業事件(名古屋高裁令和4年2月18日・労経速2479号13頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、私傷病による連続欠勤日数が就業規則所定の上限日数を超えたことを理由に、使用者であるY社において平成30年5月23日付けで行った解雇が無効であると主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認やバックペイ、違法な再出勤の不許可と本件解雇に関する慰謝料等を請求した事案である。

なお、Y社の就業規則では、私傷病の連続欠勤日数が33か月を超えた場合(再出勤開始後6か月未満で再び欠勤した場合は前後の欠勤期間を通算する。)は解雇するとされており、就業規則細部取扱別紙では、所定要件に該当する私傷病欠勤者が再出勤を申し出た場合には、所定期間において短時間勤務等のリハビリ勤務を行った上で当該期間中の勤務状況等踏まえ、再出勤の可否を決定することとされている。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、平成29年3月13日の第3回再出勤審査会の時点で、リハビリ勤務など軽易作業に就かせればほどなく従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態になっていたとは認められず、平成30年4月12日の第4回再出勤審査会の時点(又は遅くとも在籍容赦期間満了日である同年5月23日の時点)で、従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していた、又は、リハビリ勤務など軽易作業に就かせればほどなく従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態になっていたとは認められず、同年1月の再出勤の申出の際に、Xが配置される現実的可能性があると認められる他の業務(Y社において統括基幹職又は主任が担当すべき業務)についてXが労務の提供をすることができ、かつ、Xがその提供を申し出たとも認められないから、XとY社との雇用契約は、同年5月23日、本件解雇によって終了したものというべきである。

リハビリ勤務は、復職の可否を判断する上での必須の手続きではありません。

休職期間の経緯、休職期間満了時の症状等を主治医や産業医の意見を踏まえて判断することになります。

休職期間満了時の対応は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1304 大人の気骨#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

スマイルズの「自助論」のエッセンス版という形をとっています。

とても読みやすくまとめられています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世界を動かし、リードするのは天才ではなく、目的意識のはっきりした人、地道に努力を持続できる人です。天才が早熟の才を発揮した例はたしかにたくさんありますが、年若くして頭のよさを発揮したからといって、大人になってから高いところまでのぼることができるとはかぎりません。」(155頁)

継続は力なり。

昔取った杵柄で渡り歩けるほど、世の中は甘くありません。

まして、私たち凡人は、杵柄などそもそも持ち合わせていないわけですから、他人より2倍、3倍努力しなければ勝ち残れません。

30歳、40歳と年を重ねるごとに、それまでの努力の結晶が少しずつ実を結び始めます。

努力を継続していれば、の話ですが。

「あなたの武器は何ですか?」

この質問の答えを手に入れるために、日々、努力を続けるのです。

賃金227 訴訟提起前に締結された雇用契約の確認書による、割増賃金の未払い部分の放棄が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、訴訟提起前に締結された雇用契約の確認書による、割増賃金の未払い部分の放棄が否定された事案を見ていきましょう。

メイホーアティーボ事件(東京地裁令和4年1月21日・労経速2479号33頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結してY社の業務に従事し、令和2年4月30日に退職したXが、Y社から時間外労働に対する労働基準法及び雇用契約所定の割増賃金の一部が支払われていないと主張して、Y社に対し、以下の各支払を請求する事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、300万6089円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、付加金225万7901円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、本件確認書の内容で、確定効を有する和解契約が締結されたと主張する。
しかし、本件におけるY社の主張の内容のほか、本件各雇用契約の契約期間を通じて、Y社がXに対して賃金の全額を支払っていなかったことからすれば、仮に、本件確認書の作成に先立って、Y社がXに対してタイムカードないし業務月報を提示していたとしても、Y社から、Xに対し、本件確認書を作成した際、Xが現に未払の賃金請求権を有していることを説明したとは認められず、Xにおいても、未払の賃金請求権を有しているとの認識はなかったと認められる。
そうすると、本件確認書に表示された原告の意思を合理的に解釈すれば、割増賃金の未払部分を放棄するものとは解されず、また、その当時、XとY社との間に紛争が存したとも認められないから、本件確認書により、Y社が主張する内容の和解が成立したとは認められない。

このような書面の取り交わしはよく見かけますが、多くの場合、奏功しません。

奇を衒わず、労働時間を管理し、支払うべき残業代をしっかり支払うということが、最も間違いのない王道のやり方です。

策士、策に溺れないようにしましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1303 幸福の「資本」論(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

タイトルとおり、「幸福」とは何か、どのようにしたら「幸福」になれるかが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

幸福についての研究では、『自分の人生を自分の自由に決められる』ことが幸福感に結びつくことがわかっています。これが『自己決定権』で、人生の自由度が大きいほど人生に対する満足度は大きくなります。」(224頁)

「自分の人生を自分の自由に決められる」

当たり前のようで、決して当たり前ではありません。

むしろ多くの人にとって、とても難しいことではないでしょうか。

人生は、日々の小さな選択・決断の集積によって形成されています。

政治や社会や環境のせいにしたところで状況は好転しません。

人生は、我慢して生きても、自由に生きても、いずれにせよあっという間に終わってしまいます。

自分の人生なんだから自分の好きなように生きましょう。

そのために必要な準備を日々しましょう。

諦めたらそこで終わり。

YOLO!

賃金226 事実上の離婚状態にある場合に中退共の退職金や遺族給付金等の支給を受けるべき「配偶者」に該当しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、事実上の離婚状態にある場合に中退共の退職金や遺族給付金等の支給を受けるべき「配偶者」に該当しないとされた事案を見ていきましょう。

独立行政法人勤労者退職金共済機構ほか事件(東京地裁令和4年1月26日・労経速2479号33頁)

【事案の概要】

本件は、a社の従業員であった亡D(平成26年10月15日死亡)の配偶者であるXが、①亡Dが被共済者であるY1機構に対し、中小企業退職金共済法に基づく退職金928万2803円及+遅延損害金の支払を求め、②亡Dが加入していたY2基金に対し、Y2基金規約に基づく遺族給付金として503万0300円+遅延損害金の支払を求め、③亡Dが加入していたY3基金に対し、Y3基金規約に基づく遺族一時金として243万3000円+遅延損害金の支払を求める事案である

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 中小企業退職金共済法は、中小企業の従業員の福祉の増進等を目的とするところ(1条)、退職が死亡によるものである場合の退職金について、その支給を受ける遺族の範囲と順位の定めを置いており、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む配偶者を最先順位の遺族とした上で(14条1項1号、2項)、主として被共済者の収入によって生計を維持していたという事情のあった親族及びそのような事情のなかった親族の一部を順次後順位の遺族としている(同条1項2号から4号まで、2項)。
このように、上記遺族の範囲及び順位の定めは、被共済者の収入に依拠していた遺族の生活保障を主な目的として、民法上の相続とは別の立場で受給権者を定めたものと解される。
このような目的に照らせば、上記退職金は、共済契約に基づいて支給されるものであるが、その受給権者である遺族の範囲は、社会保障的性格を有する公的給付の場合と同様に、家族関係の実態に即し、現実的な観点から理解すべきであって、上記遺族である配偶者については、死亡した者との関係において、互いに協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者をいうものと解するのが相当である(最高裁昭和58年4月14日第一小法廷判決参照)。
そうすると、民法上の配偶者は、その婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのない場合、すなわち、事実上の離婚状態にある場合には、中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらないものというべきである(最高裁判所令和3年3月25日第一小法廷判決参照)。

ということです。

少しマニアックではありますが、弁護士、社労士としては知っておく必要があります。

退職金や遺族給付金等については顧問弁護士に相談をしましょう。

本の紹介1302 CHANCE(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

成功するか否かは、まさにタイトルのとおり「CHANCE」をどのように捉えるかがとても大きいです。

掴むのか、逃すのか。

その判断の集積に他なりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

大きなチャンスが目の前に来た時に、それに挑戦できるかどうかということだ。ある成功者がつかんだチャンスは、多くの人もそれを見て、気がついて、触れたはずだ。でもほとんどの人は手を出さなかった。そこに両者の決定的な差があるんだ。
『自分は成功者だ』と思っている人は、現実に成功する行動を取るものだ。そう思っていない人は、反対の行動を取るんだよ。常に、人生には分かれ道がある。そのどちらを行くかでたどり着く地点が変わる。それだけなんだよ。」(75頁)

まさにそのとおりです。

人生は、選択の連続で、その選択の集積が今の自分を形成しています。

10代の頃は、それほど大きな差はなくても、30代、40代と、選択の集積が増えていくにつれて、うまくいっている人とそうでない人の差は顕著に表れます。

成功する人は成功する理由があり、その逆もまたしかり。

日々の小さな選択を見直すことが、成功への第一歩です。

パワハラ・セクハラ69 テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたらないとされた事案を見ていきましょう。

シナジー・コンサルティング事件(東京地裁令和3年2月15日・労判1264号77頁)

【事案の概要】

本件は、テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたるかが争われた事案である。

【裁判所の判断】

パワハラにはあたらない

【判例のポイント】

1 Xは、「テレアポ業務」を強要されてこれが不法行為に当たると主張し、Y社も、Xに同業務を命じた理由の一つとして原告の勤務態度規律があった事実は認めているが、そもそも不動産の営業を担当するXに対して電話での営業を命じること自体は使用者の裁量の範囲内にあると考えられる。そして、Y社は、Xが上司に日々の具体的な業務遂行状況を報告しなかったことを問題であると認識していたこと、Xが本件雇用契約の締結に先立ち「テレアポ営業では1日1200件電話をしたこともあります。これまでの人脈と経験で積極的に行動し成果につながる仕事がしたいと思っています。」などと記載した職務経歴書を提出して自己の長所として訴えていた経緯があることを踏まえて、業務内容及びその成果がY社から見て明確と評し得る「テレアポ業務」を担当させることによって上記問題の解消を意図したからといって、それが報復・懲罰ということにはならず、使用者の裁量を逸脱した違法な指揮命令であると評価することはできない

1日中シュレッダーをかける業務を命じるのとは訳が違います。

通常の業務範囲として許容される業務を命じることは使用者の権限として許容されていますので、本件では上記の結論になりました。

ハラスメント該当性については顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。