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今日は、リハビリ出勤を経ることなく、連続欠勤を理由とする解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。
三菱重工業事件(名古屋高裁令和4年2月18日・労経速2479号13頁)
【事案の概要】
本件は、Xが、私傷病による連続欠勤日数が就業規則所定の上限日数を超えたことを理由に、使用者であるY社において平成30年5月23日付けで行った解雇が無効であると主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認やバックペイ、違法な再出勤の不許可と本件解雇に関する慰謝料等を請求した事案である。
なお、Y社の就業規則では、私傷病の連続欠勤日数が33か月を超えた場合(再出勤開始後6か月未満で再び欠勤した場合は前後の欠勤期間を通算する。)は解雇するとされており、就業規則細部取扱別紙では、所定要件に該当する私傷病欠勤者が再出勤を申し出た場合には、所定期間において短時間勤務等のリハビリ勤務を行った上で当該期間中の勤務状況等踏まえ、再出勤の可否を決定することとされている。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xは、平成29年3月13日の第3回再出勤審査会の時点で、リハビリ勤務など軽易作業に就かせればほどなく従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態になっていたとは認められず、平成30年4月12日の第4回再出勤審査会の時点(又は遅くとも在籍容赦期間満了日である同年5月23日の時点)で、従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していた、又は、リハビリ勤務など軽易作業に就かせればほどなく従前の職務である工務主任と同等の職務を通常の程度に行える健康状態になっていたとは認められず、同年1月の再出勤の申出の際に、Xが配置される現実的可能性があると認められる他の業務(Y社において統括基幹職又は主任が担当すべき業務)についてXが労務の提供をすることができ、かつ、Xがその提供を申し出たとも認められないから、XとY社との雇用契約は、同年5月23日、本件解雇によって終了したものというべきである。
リハビリ勤務は、復職の可否を判断する上での必須の手続きではありません。
休職期間の経緯、休職期間満了時の症状等を主治医や産業医の意見を踏まえて判断することになります。
休職期間満了時の対応は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。