パワハラ・セクハラ69 テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたらないとされた事案を見ていきましょう。

シナジー・コンサルティング事件(東京地裁令和3年2月15日・労判1264号77頁)

【事案の概要】

本件は、テレアポ業務を命じたことがパワハラにあたるかが争われた事案である。

【裁判所の判断】

パワハラにはあたらない

【判例のポイント】

1 Xは、「テレアポ業務」を強要されてこれが不法行為に当たると主張し、Y社も、Xに同業務を命じた理由の一つとして原告の勤務態度規律があった事実は認めているが、そもそも不動産の営業を担当するXに対して電話での営業を命じること自体は使用者の裁量の範囲内にあると考えられる。そして、Y社は、Xが上司に日々の具体的な業務遂行状況を報告しなかったことを問題であると認識していたこと、Xが本件雇用契約の締結に先立ち「テレアポ営業では1日1200件電話をしたこともあります。これまでの人脈と経験で積極的に行動し成果につながる仕事がしたいと思っています。」などと記載した職務経歴書を提出して自己の長所として訴えていた経緯があることを踏まえて、業務内容及びその成果がY社から見て明確と評し得る「テレアポ業務」を担当させることによって上記問題の解消を意図したからといって、それが報復・懲罰ということにはならず、使用者の裁量を逸脱した違法な指揮命令であると評価することはできない

1日中シュレッダーをかける業務を命じるのとは訳が違います。

通常の業務範囲として許容される業務を命じることは使用者の権限として許容されていますので、本件では上記の結論になりました。

ハラスメント該当性については顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。