おはようございます。
今日は、団交拒否にかかる審査申立てと「一連の継続する行為」の意義に関する事案を見ていきましょう。
一般社団法人日本港運協会事件(東京都労委令和3年7月20日・労判1260号93頁)
【事案の概要】
本件は、団交拒否にかかる審査申立てに関連して「一連の継続する行為」の意義が争点となった事案を見ていきましょう。
【労働委員会の判断】
本件申立ての1年以上前の団交にかかる申立ては却下
【命令のポイント】
1 組合は、平成30年2月7日付団体交渉申入れに対し、法人が同月19日に会員に文書を交付したことは本件申立てよりも1年以上前であるが、申立て前1年以内の団体交渉と一連の継続する行為に当たることから、本件審査の対象となると主張する。
しかし、団体交渉の申入れや団体交渉は、その都度別個の行為であり、同様の行為が続いているからといって、全体を1つの継続する行為とみることはできない。
したがって、組合の主張は採用することができず、本件申立てより1年以降前の平成31年2月9日以前の団体交渉に係る申立ては、却下せざるを得ない。
不当労働行為の救済申立ては、不当労働行為と思われる行為がなされてから1年以内に行う必要があります。
同様の行為が繰り返し行われている場合は、「一連の行為」が最後に行われた時点を基準にして、1年以内かどうかを判断します。
「一連の行為」の判断は、解釈に委ねられますので、予測可能性が高くありませんので注意が必要です。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。