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今日は、就業状況不良等を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。
産業と経済・やまびこ投資顧問事件(東京地裁令和3年9月24日・労判ジャーナル120号54頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による普通解雇が無効であるとして、Y社に対する雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び同契約に基づく未払賃金等支払、同契約に基づき、同解雇前の令和元年12月支払分の給与のうち欠勤に伴い支払われなかった13万円の支払、並びにY社がXに金融商品取引法に違反する取引を共用したことや同解雇が不行為に当たるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料700万円の賠償を求めるとともに、A社に対し、A社がY社を実質的に支配していたなどとして、Y社に対するのと同内容の各請求をした事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xは、違法取引を強要されたとは認められないにもかかわらずこれを強要されたと言って監督官庁への告発を示唆して和解の名目で金銭的要求を行った上、その後、14日間欠勤し、その多くが無断欠勤であったばかりか、その間にA社およびY社を非難する旨のSMSを送り続け、Y社に対する反抗的な態度を明らかにし、このようなXの言動については、就業規則所定の解雇理由である従業員の就業状況が著しく不良で、就業に適しないと認められたときに当たり、Xを解雇することについての客観的に合理的な理由があるというべきであり、そして、以上のような労働者の言動については、Y社も不適切な取引関係の形成に関与したことがうかがわれることは否定し難いものの、Y社に対し金銭的要求を行うなどしていることからすれば、その是正を求めるための正当な言動とは解し難い上、正当な理由なく就労を拒否し、反抗的な態度を明らかにしたものであって、Y社との信頼関係を著しく損ねたものというべきであり、また、Y社は、Xに対し、適切に弁明の機会を付与し、Xもこれに応じて弁明をするなどしており、本件解雇については手続的にも相当性を欠くというべき点は見受けられないから、本件解雇は、社会通念上相当であると認められるから、本件解雇は有効である。
内部告発をする場合には、告発を正当化するだけのエビデンスを用意しておかないと、立場が逆転しかねませんので注意が必要です。
解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。