おはようございます。
今日は、組合執行委員長を懲戒解雇したことが不当労働行為とした初審命令が取り消された事案を見ていきましょう。
公益社団法人日本空手協会事件(中労委令和2年11月4日・労判1256号95頁)
【事案の概要】
本件は、組合執行委員長を懲戒解雇したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
なお、初審(東京都労委平成30年10月2日)は、不当労働行為に該当すると判断した。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 本件懲戒解雇に先立ち、事情聴取をしているが、聴取事項は、いずれも、当時の経営陣批判に関連する行為又はA個人の行為を問題とするものであって、組合の労働組合としての活動そのものを問題視していた様子もうかがわれない。
上記のような組合の活動の内容や協会内容の対立構造の顕在化という状況、協会のAに対する事情聴取の内容からすると、本件懲戒解雇は、Aが反経営陣活動をしたことを理由としてされたものであると考えられる。
以上のとおり、本件懲戒解雇は、Aが労働組合の組合員であること又は労働組合としての活動をしたことを理由としてされたものとまでは認められない。
したがって、本件懲戒解雇は、労組法7条1号の不当労働行為に該当しない。
懲戒解雇の有効性は別として、Aが組合員であること又は労働組合としての活動をしたことを理由とするものではないため、不当労働行為にはあたらないとされました。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。