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今日は、組合員の解雇撤回等を議題とする団交申入れに対する会社の対応が不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。
粟野興産事件(東京都労委令和3年1月19日・労判ジャーナル1254号96頁)
【事案の概要】
本件は、組合員の解雇撤回等を議題とする団交申入れに対する会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 会社は、組合の全ての質問や要求は既に第1回団体交渉や係属中の訴訟等において回答済みであり、また、長期間、数々の訴訟と労働委員会の手続等で争われており、いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みはなく、団体交渉を継続する余地はなくなっていた以上、団体交渉拒否の正当理由があると主張する。
しかしながら、訴訟と不当労働行為審査手続と団体交渉とは、各々その目的や機能を異にするものであり、訴訟や労働委員会の手続の中で説明資料等が提出されたからといって、団体交渉において誠実に説明する労働組合法上の義務が消滅するわけではない。
また、訴訟等が係属していたとしても、別途、団体交渉において紛争を解決する余地がないとはいえず、団体交渉において双方が説明や主張を尽くした上で交渉が行き詰まりに達したといった事情がない限り、訴訟等における状況のみから、団体交渉を継続する余地がなくなったということはできない。
これは、団体交渉の基本中の基本ですので、しっかり押さえておきましょう。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。