Daily Archives: 2022年2月21日

労働者性41 労務DDにより回避可能な雇用契約の存否に関する紛争(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、雇用契約の存否が争点となった裁判例を見ていきましょう。

流通情報センター協同組合事件(東京地裁令和3年7月7日・労判ジャーナル117号46頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社と雇用契約を締結している旨主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく未払賃金及び立替金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇用契約の成立を肯定

【判例のポイント】

1 XとY社及びA社との間の雇用契約の存否について、Xは、平成29年12月、組合専務理事であるD及びA社の実質的な代表を務めるFから、Y社及びA社で正式に働いてほしい旨言われてこれを承諾したところ、その際、業務内容については、監査、巡回、受入先企業の相談対応等と、当該業務に対する報酬については、Y社から月額10万円、A社から月額5万円(立替経費については別途精算)とそれぞれ定められ、その後、概ね当該定めに従ってXが業務に従事し、Y社から支払がされたことが認められ、さらに、Xは、Y社及びA社で業務を行うようになった後、当初は、Y社の指示によりFと相談して担当先の割り振りを受けた上、担当の受入先企業を訪問して実地確認等を行い、その結果を記載した報告書をY社に提出していたこと、その余の業務についても、Y社及びA社の指示を受けて行っていたことが認められ、Y社及びA社の指揮命令下で業務に従事していたということができるから、XとY社及びA社との間で、雇用契約が成立したというべきであり、そして、令和元年6月、A社の業務がY社に引き継がれた後も、Xは引き続き従前と同様の業務を行っていたというのであるから、上記引継ぎに伴い、XとA社との間の雇用契約がY社に引き継がれ、未払賃金債務もY社に引き継がれたものと認められる。

仕事の仕方を実質的に検討し、指揮命令下に置かれていると判断される例です。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。